簡易迅速検査キット、社会実装に向けてGO!

2019年1月10日

皆様、明けましておめでとうございます。
年始を迎え、今年の抱負や目標を掲げる時期となりましたが、まずは昨年度の活動を振り返りたいと思います。

当プロジェクトの大きな目標である簡易迅速検査キットの開発ですが、2018年、馬トリパノソーマ病に対する検査キットの実用化に向けて、プロジェクトは大きく動きました。

新たに開発された獣医薬品や検査方法は、モンゴルでは以下の過程を経て製造・販売が可能となります。

1)外部検査:獣医薬品品質会議が認定している外部ラボラトリー(獣医薬品品質管理ラボ)による有効性の確認検査及び承認書の発行
2)獣医学研究所内の理事で構成される科学委員会(Scientific Meeting)での承認(政府の承認プロセスに申請して良いか?)
3)モンゴル国の薬事委員会による最終承認(承認書と承認番号が発行)
4)最後に農牧省大臣が承認書を発行し、国の診断リストに登録され、製造・販売が可能となる

2018年1月に、外部ラボラトリーで有効性の確認検査及び承認書が発行された検査キットは、2月の獣医学研究所の科学委員会と国の薬事委員会の承認を経て、3月に農牧省大臣の承認書が発行されるに至りました。これで、モンゴル国での製造・販売が可能となったわけです。

5月には農牧省との間で購買契約が結ばれ、7月に1470個を納入。その後、農牧省は14県に配布し、秋以降地方獣医師たちによって活用されるようになりました。すでに各県から、検査キットを使った感想や改善点等の意見、さらなる検査キットの注文や検査方法のトレーニング要請も寄せられています。11月にはトレーニングの要望に応え、バヤンホンゴル県の検査機関から3人、ウランバートル市の検査機関から2人と5人の獣医師を迎え、検査キットのトレーニングを獣医学研究所で実施しました。

農牧省からは、各県からの要望を鑑み2019年は4200個の検査キットを購入できるよう予算に組み込んだという情報を得ています。今後、プロジェクトは今年5月末のプロジェクト終了時を見据え、さらなる社会実装に向けJICA事務所と協力しながら取り組んでいく予定です。

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当プロジェクトで開発した簡易迅速検査キット。イムノクロマト法(Immunochromatography)と呼ばれる抗原抗体反応を利用した検査方法を使用していることから略して『ICTキット』と呼んでいる

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トリパノソーマ原虫による神経疾患で、口先が曲がってしまった雌馬

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県や市からの要請を受け、獣医学研究所で検査方法の研修を受ける地方獣医師たち