PBN飛行方式にかかる安全性評価ワークショップの開催

2015年10月20日

PBNなど新たな飛行方式を導入する際には、新方式が運用上安全であるか否かを評価する「安全性評価」の事前実施が必要です。プロジェクトでは、本年5月に安全性評価に関する基礎知識の習得を目的として「安全管理システム(SMS)基礎訓練」を行いました。今回は、ヤンゴン国際空港に導入する新飛行方式をケーススタディとして「安全性評価ワークショップ」を実施しました。

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安全性評価システムを説明する講師

5月に開催した基礎訓練と同様に、フィリピン民間航空局(注)より3名の講師を招聘し、9月14日から25日まで約2週間の訓練を実施しました。始めの2日間で安全評価システムを説明し、安全性評価の評価システム、チェック項目について勉強しました。
次に、安全性評価の実際のノウハウを学ぶため、ヤンゴン国際空港に導入されるPBN方式をモデルとした3日間のワークショップを開催しました。ワークショップには、ヤンゴンArea Control Center(ACC)から4名の管制官、ミャンマーの民間航空会社から4名のパイロットを招聘しました。

ワークショップ初日、2日目は、なかなか意見交換が進まず苦労しましたが、3日目にグループを2つに分けて、小さなグループで話し合えるように改善しました。その結果、カウンタパート同士で意見を活発に交換できるようになり、有意義なブレーンストーミングを行うことができました。
時間が限られていたことから、ヤンゴン空港の精密進入にかかる安全性評価のみ実施しましたが、安全性検証の実体験を通して飛行方式設計者は、安全性評価には、方式設計の知識のみならず、管制手法、レーダー性能、座標、機上装置など幅広い知識が必要とされることを認識しました。

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ワークショップでのブレーンストーミングの様子

訓練後半では、フィリピン民間航空局の講師が、フィリピンでの所属先におけるレギュレーター及びサービスプロバイダー、それぞれの立場における業務内容を説明しました。
サービスプロバイダー業務に関連して、フィリピンでの方式設計を取りまとめた設計図書の構成(安全性評価のポイントやエビデンス(設計根拠資料)の作成を含む)、設計作業の流れが説明され、改めて方式設計者に求められる知識、技能への理解を深めることができました。
また、レギュレーターの講師によるレギュレーターの責任範囲、担当者の業務内容の説明を通じて、現在航空分野の世界で進められているレギュレーターとサービスプロバイダーの組織の分離等についての理解が促進されました。
ミャンマーの飛行方式設計者は、今回のワークショップを通じて自分達が日頃行っている方式設計作業の全体像が見えてきたかのように思われます。また、プロジェクトとしても、今後必要な新たな活動を把握することができました。今回のワークショップを通じて得られた知見を来年度の活動に反映し、さらなる能力向上を目指します。

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フィリピンの設計図書を説明する講師

(注)2009年から2014年にかけて実施した「フィリピン国航空航法システム安全性・効性向上プロジェクト」において、SMSの立ち上げに関する支援が行われています。プロジェクトでは、フィリピン民間航空局におけるSMS基礎訓練の実施やSMS導入の経験等の情報の共有は、ミャンマー民間航空局にとっても参考になる点が多いと考え、フィリピン民間航空局より講師を招聘しています。