ポリシーディスカッションセミナー(第1回)が開催されました。

2013年11月14日

プロジェクトではタイと日本の高齢者介護政策関係者が「ポリシーディスカッショングループ」と呼ばれるメンバーを構成し、年に2回介護制度の議論を行い、プロジェクト目標であるタイ政府への介護の政策提言につなげていくことを目的としたセミナーを開催予定です。2013年8月29日、30日の2日間、初のポリシーディスカッションセミナーが開催されました。

タイ側の出席者は保健省、社会開発・人間の安全保障省、内務省、労働省等の関係省庁、関係機関(国家経済社会開発庁、国民医療保障事務局(NHSO)、健康保険システム調査機関(HISRO)。大学(チュラロンコン大学、マヒドン大学等)そして各プロジェクトサイトの地方事務所等です。日本側は厚生労働省、和歌山県庁、JICA本部、そしてプロジェクトの調査・研究にご協力頂いている筑波大学研究者らがタイを訪れました。

初回のテーマは「タイの介護制度の特徴を明らかにすること」。セミナー1日目、日本側参加者はノンタブリ県プロジェクトサイトの寝たきり高齢者の自宅やデイケアセンター候補地であるリハビリテーションセンター等を訪問しました。出席者からは「タイでは高齢者を支援するボランティアなどコミュニティのインフォーマルな資源が充実しており、日本が学ぶべき点がある」などの感想が聞かれました。

セミナー2日目はタイ・日本双方のメンバー計81名が保健省会議室に集まり、ディスカッションが行われました。まずは日本の介護保険制度含む高齢者介護政策、タイの高齢者政策と取組みがそれぞれ発表・共有された後、筑波大学の教授より介護制度の国際比較に関する講義が行われ、タイ・日本における高齢者政策の全体像の理解が目指されました。

午後は日本研修(高齢者福祉行政)に参加したタイ人研修員が中心となり、同研修を経て、今後タイで取り組んでいきたい活動(データ整備や民間セクターの参画、サービスへのアクセス件数の向上等)の発表がありました。その後、タイ・日参加者は4グループに分かれ、(1)介護制度(2)関係者間の役割分担(3)介護高齢者、(4)介護サービスの各テーマの議論を行い、発表が行われました。

最後に保健省事務次官補チャンビット氏はセミナーの総括を行い「4グループの発表を聞いたが、実現可能かの検証がなされていない活動の羅列が多いと思われる。本当にタイ国として実施可能なのかを考えた上で、提案をより具体化する必要がある。次回のセミナーでは、より戦略的な議論を期待しています」との厳しい意見もありました。今回の初回セミナーで得られた教訓と反省を大いにいかし、次回、2014年3月に予定しているポリシーディスカッションセミナーでは更に良い議論ができるよう、プロジェクトとして支援していくつもりです。

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セミナー2日目の様子

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グループディスカッション