ベトナムでは、ドイモイによる市場経済導入後、経済発展が進む一方で地方と都市部の格差が拡大し、国内外の人の移動に伴い人身取引被害が深刻化している。ベトナム政府は、2004年に人身取引対策国家行動計画(以下「国家行動計画」)を策定し、法政策、予防、取り締まり、被害者の社会復帰支援の分野において様々な取り組みを実施してきており、2015年12月には第3期国家行動計画を制定した。また、カンボジア、タイ、ラオス、中国といったメコン地域や周辺の各国との二国間協定の締結にも取り組み、法的枠組みは徐々に整いつつある。その一方で、被害は年々増加傾向にあり、被害の予防や被害者への支援において、さらなる取り組みが求…