日本人旅行者をもっと増やしたい!:「観光振興とマーケティング(A)」コース

アクションプラン発表会

2013年9月9日から10月18日の日程で実施した「観光振興とマーケティング(A)」は講師の方々および関係機関の方々のご協力により無事終了しました。当ホームページでも見学者を募ったカントリーレポート発表会やアクションプラン発表会では、研修員それぞれが個性的かつよく準備されたプレゼンテーションにより、自国の魅力や学んだことを踏まえた今後の活動計画についてうまくまとめ発表することができました。

旅博 スリランカブース

この研修では、日本の旅行業界や旅行者の特徴など日本人マーケットの攻略法を、主に旅行業界の実務者による講義や視察を通じて学びます。9月中旬に研修を開始するのは、日本旅行業協会(JATA)が毎年実施している「旅博」に参加するためです。この旅博とは、150か国以上が展示ブースを出し、約12万人が参加するアジア最大級の旅行展示会のひとつです。

旅博 ボスニア・ヘルツェゴビナ研修員の発表

多くの人が集まるイベントなので、絶好の観光プロモーションの場となり、各国の観光局や航空会社、ホテル、旅行会社等、様々な関係機関が宣伝及び商談の場として活用しています。そのような活動を視察するのも日本の旅行産業を理解し、日本人旅行者を誘致するためには必要な知識を得ることにつながります。

講義風景

日本人の訪問者数を増やすことは重要な目標ですが、訪問者に自国の滞在を楽しんでもらう、「おもてなし」の視点も中長期的に日本人旅行者を増やし続ける重要な要素です。プログラムの中では、日本人に好まれるおもてなしがどのようなものか、旅行会社や宿泊施設などから学び体験することもプログラムの一つとなっています。

松本城テレビ取材

研修旅行として訪問した長野県松本市では市による街並み保全と観光振興も学び、現地での視察風景は地元メディアにも大きく取り上げられました。

東北研修旅行 毛越寺でのガイド説明

東北研修旅行 松島湾クルーズ船上の研修員

また、東北も研修旅行先に含めており、震災からの復興という観光振興の別の視点も日本の経験から学んでもらうことを狙いとしました。

様々な講義と視察だけでなく、旅行業界の方々と接点を多く持つことに力を入れていることも特徴の一つです。旅行業界の方々にとっては、あまり接点のない途上国の観光行政官と関係づくりのきっかけとすることができ、研修員にとっても日本の旅行業界との関係づくりはこれからの日本向けプロモーションには重要です。そのため、研修員には研修の場だけでなく帰国後もコンタクトできるよう、できるだけ多く名刺を持ってきてもらい、様々な講師や旅行業界関係者と名刺交換することを勧めました。

プログラムを通して研修員からは「多くの人と出会うことができた」、「とても有意義な研修であった。研修で得た知識を帰国後活用したい」、「日本市場とその特徴、日本人について理解することができた。自国のサービス改善にも役立てたい」、「いろいろな国からのメンバーと出会い、各国の文化、観光振興も知ることができた」といったコメントをいただきました。以前ご紹介した帰国研修員の活躍(https://www.jica.go.jp/tokyo/enterprise/kenshu/article/2013/report105.html)のように、得られた知識・経験・ネットワークを自国の観光振興に繋げていって欲しいと思います。


産業開発・財政課 武尾昭秀 (2013年10月)