インドネシアに日本式道の駅がオープン!

草の根技術協力事業「道の駅の知見を活用したアグロツーリズム推進による農業振興と防災環境の向上」で建設された「道の駅PAKEWA(パケワ)」が2023年5月26日、北スラウェシ州トモホン市にグランドオープンしました。インドネシアで2つめの道の駅となります。

2023年6月6日

防災拠点としての機能も兼ね備えた日本式道の駅

本事業は、千葉県南房総市と株式会社ちば南房総が実施した草の根技術協力事業で、「全国道の駅グランプリ 2000」の最優秀賞受賞駅に選ばれ、来年開業 30 周年を迎える「道の駅とみうら 枇杷(び わ)倶楽部」の初代所長で、「観光カリスマ百選」にも選出された加藤文男さんがプロジェクトマネージャーとして事業をけん引しました。

グランドオープニングセレモニーの様子

「道の駅PAKEWAの内部の様子」

日本の道の駅の知見の活用により、地域・農産品・観光の有機的な広域連携と新たな販路を生み、農家・観光事業者所得を向上するとともに観光客と住民に対する防災環境を向上することを目的とし、具体的には、農業観光を通じて生産現場を訪れる観光客が増えることにより、地域産品販売が拡大すること、観光関連団体の結成で広域情報の発信と広域観光ルートの形成が促進されること、有機低農薬野菜や花卉の新たな販路となること、防災機能を備える直売所を整備することで災害時に観光客や住民の避難先として活用されることが期待されています。防災拠点としての機能も兼ね備え、日本とインドネシアの建築様式を融合しているという点が特徴的です。
加藤さんは、「パンデミックとウッドショック、さらには首長交代を乗り越えて市場併設型の道の駅が完成し、正式名称にも「MICHI‐NO‐EKI」と表示されました。道の駅が地域振興基盤の一つとなって、「一村一品」や「6次産業化」といった日本の過疎地域の知恵が活かされ、進化してゆくことを期待しています。」と今後の発展に期待を寄せています。

焼肉など日本食が食べられる食事処も

バティックの販売コーナー

焼肉など日本食も食べられる食事処も併設

名産のトモホンコーヒーも販売

「道の駅PAKEWA」では、菊など生花の鉢植えや贈答用の花かご、地元農家が作るオーガニック野菜やバティック(ろうけつ染め)を取り扱います。施設内にはトモホンコーヒーを販売するカフェ、焼き肉やしゃぶしゃぶを提供する居酒屋も併設しています。

農家の出荷価格が倍増!

「道の駅PAKEWA」の有機野菜販売コーナー

トモホン市の住民の65%は農業従事者ですが、農家の平均耕作面積は0.3ha 未満で所得も低く、後継者不足も深刻化しています。同市は商品化値の高い農作物生産を通じた農家収入向上を図るため野菜の有機栽培を推進しているものの、販路が限られていることから依然農家の収入は低い状況にあります。
本事業では、直売所の設置による販路拡大や同市の特性を生かした観光促進による所得向上を目的として実施されました。その結果、有機栽培農家の一部は、大手外食チェーンと契約を締結し、出荷価格が2倍となった例も見られ、道の駅売店での販売への期待も高まっています。

拡がりをみせる道の駅の輪

「道の駅PAKEWA」の運営メンバーとJICAインドネシア事務所スタッフ

インドネシアでは、2018 年9月に日本の道の駅をモデルとした道の駅第1号 が南スラウェシ州バンタエン県にオープンしており、本件はこれに続く日本式の道の駅となります。南スラウェシ州とトモホン市の道の駅を通じた交流も検討されており、相互交流による機能性と地域振興の向上、「道の駅」の他地域への普及も期待されます。

この道の駅が地域の誇りとなり、国内外からの訪問者を魅了する存在となることを願っています。

報告者:市民参加協力第一課 我妻みず穂