トトニカパン・キチェ県で最後の運営委員会を開催 —母子栄養改善活動の継続へ—
2025年11月、トトニカパン県(4日)およびキチェ県(14日)にておいて、最後の運営委員会が開催され、両県で約120名の関係者が参加しました。参加者は、県知事、県保健サービス統合ネットワーク局(DDRISS)、市保健管区事務所(DMS)、大統領府食糧栄養安全保障庁(SESAN)、JICAグアテマラ事務所、プロジェクト専門家など多岐にわたり、行政機関・保健医療施設・コミュニティが一体となって母子栄養改善に取り組んできた軌跡が共有されました。
会合では、プロジェクトの中心的枠組みとなる「母子栄養改善に向けたヘルスプロモーション・健康教育のためのパス(以下「パス」)」が、保健省によって正式に承認1されたこと、および同パスがDDRISSトトニカパンおよびDDRISSキチェの管轄下において導入・実施されている進捗が報告されました。
保健医療従事者向け研修においては、継続的な研修を通じて、身体測定、妊産婦の栄養評価、栄養不良児への対応など、地域の保健ニーズに即した実践的技術が強化されました。研修後のフォローアップでは、多くの保健医療従事者が習得した内容を実務で活かしており、母子栄養サービスの質向上に寄与していることが共有されました。
コミュニティ人材向け研修では、母乳育児支援、成長モニタリングや妊婦健診の受診促進、衛生習慣の改善など、日常生活に根差した母子栄養改善活動を担うコミュニティ人材が育成されました。また、コミュニティ人材が保健医療従事者とともに立案したコミュニティ活動計画を通し、学んだ内容を家族や地域に伝える住民主体のアプローチが広まっています。コミュニティでは、父親を含む多様な住民が母子栄養改善活動に参画する機会が拡大し、地域における自立的な取り組みが強化されています。
また、保健・教育・農業・水衛生など複数のセクターにおける連携を促進するため、プロジェクトは県・市・コミュニティ食糧栄養安全保障委員会を通じてマルチセクトラル活動を支えてきました。関係者マッピング、機関プロファイル分析、Venn図2による協働関係の可視化、年間計画策定、ならびにモニタリング・評価手法の運用強化が行われました。これらにより、セクター横断的な取り組みが継続して進められています。
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ODA見える化サイト プロジェクトニュース: 「『母子栄養改善に向けたヘルスプロモーション・健康教育のためのパス』を発表」
2 Venn図:複数の集合の関係や、集合の範囲を視覚的に図式化したもの。本プロジェクトでは、各市において母子栄養改善に関わる組織や住民グループを視覚化し、それぞれの役割や連携状況、今後の協力の可能性を関係者間で共有するため、Venn図を使って整理しました。
さらに帰国研修員による本邦研修3のアクションプラン「Utz Waim4〜栄養教育を通じた健康的な食生活の実現〜」の成果報告においては、補完食の調理方法、食形態、衛生管理などの理解を深め、適切な補完食の実践ができるようになったことが確認されました(2025年4月10日のニュース「日本での学びを活かしたアクションプランの実施~補完食の推進活動~」もご覧ください)。
両会合の締めくくりとして、プロジェクト終了後の取り組みの継続に向け、DDRISSおよびDMSはそれぞれの役割に基づきアクションプランを策定しました。同プランはDDRISSおよびDMS所長による承認・署名を経て、今後開催される合同調整委員会にてプライマリ・ヘルス・ケア(PHC)担当次官へ正式に提出される予定であり、持続性の確保につながることが期待されています。
今回の2県での運営委員会では、パスの正式承認、人材育成の成果、住民の行動変容の進展、セクター横断的な協働体制などが根づきつつあることを確認する重要な節目となりました。これらの基盤は、今後のパスの全国展開や地域レベルの改善サイクルの定着、そして母子栄養改善の長期的な持続性につながることが期待されます。
トトニカパン県運営委員会の様子
上位目標に向けたアクションプラン策定の様子(トトニカパン)
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ODA見える化サイト プロジェクトニュース: 「日本の母子栄養改善についての知見を学ぶ本邦研修の実施」
4 Utz Waim: グアテマラの現地語(キチェ語)で「よく食べる」を指す。プロジェクトの優先コミュニティを対象に、2歳未満児を持つ母親に対して栄養教育を通じた健康的な食習慣に関する指導を実施し、母子栄養の知識の普及と乳幼児の成長促進を目指す。
キチェ県SESANによるマルチセクトラル活動の成果共有
上位目標に向けたアクションプラン策定の様子(キチェ)