第3期果樹普及農家育成プログラム始まる

2018年12月12日

第3期目となる果樹普及農家育成プログラムが始まりました。果樹普及農家育成プログラムは、プロジェクトが提唱し整備に取り組む普及アプローチ「アウトリーチ・プログラム」に基づくプログラムです。プロジェクト活動地域の各県から選抜された農家を対象に、果樹栽培のイロハを伝授するため、一年にわたり様々なカリキュラムを実施します。今季は、プロジェクト対象5県から31名の果樹普及農家が参加しています。彼らは県農業事務所の推薦を受けた地域の農家で、プロジェクトスタッフによる圃場予定地の事前チェックを経て、本プログラムに参加する資格を得た精鋭ぞろいです。

10月の下旬に、第1回目の研修を行いました。バジョ農業研究開発センターに集まった参加農家は、まず初日に、果樹苗木を植栽するための植穴準備の方法を学びます。ひとくちに植穴といっても、硬い地面と格闘して直径1メートル、深さ1メートルの穴を掘り、堆肥と一緒に土を埋め戻す作業は相当な労力が求められます。果樹普及農家は、2月に予定される苗木の植栽に先立ち、このような植穴を50個前後準備することになっています。その労力が如何ほどのものか、身を以て理解した農家たちは、汗を流しながら真剣な面持ちで穴掘り実習に励んでいました。
そして、研修2日目からは、ブータン東部への視察旅行に出かけます。東部地域では、過去約14年にわたり、JICAによる園芸農業分野の技術協力が続けられてきました(下記関連リンク参照)。現在では、その継続的な努力の結果、様々な種類の果樹・野菜が普及しつつあり、ブータンにおける園芸農業の先進地域となっています。果樹普及農家たちは、この視察を通じて農業試験場の栽培技術を学び、甘柿や日本ナシを試食し、また地域農家の生産活動を見聞する機会を得ました。移動だけで往復4日を要するハードな旅ですが、東部の成功体験に触発された農家たちは大いにモチベーションを高めた様子で、目を輝かせながら今後の果樹栽培への意気込みを語ってくれました。

第1回研修で農家の果樹栽培意欲を喚起したところで、次は圃場レイアウトの仕事が待っています。圃場レイアウトとは、果樹普及農家の植栽予定地を踏査し、植え付ける果樹の種類を決めたり、植穴の設置場所を測定したりする作業です。11月いっぱい、カウンターパートと日本人専門家は村々を駆け回り、全ての果樹普及農家の圃場を訪れ、圃場レイアウト作業に追われました。
年明けの1月下旬には、第2回研修で果樹栽培管理技術の指導を行うとともに、果樹苗木を果樹普及農家に配布する予定です。本プログラムも3期目を迎えることから、プロジェクト後の継続・発展を見据えつつ、カウンターパートのアイデアや主体性を尊重しながらの運営に努めたいと考えています。

関連リンク:

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全候補農家の植栽予定地を踏査し、その適否を確認の上、第3期果樹普及農家を決定しました。(圃場確認)

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圃場確認では標高・方位・土質・道路からの距離等を把握すると同時に、候補者の人柄も重要な確認事項となります。

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果樹普及農家に植穴準備作業の技術指導を行うカウンターパート。(第1回研修)

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植穴準備実習に汗を流す果樹普及農家。なかなかの重労働です。(第1回研修)

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バジョ・センターで栽培された秋スイカを試食する農家。実体験は彼らのモチベーションを高める上で大きな役割を果たします。(第1回研修)

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東部視察で生き生きとした表情を見せる果樹普及農家たち。

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柑橘栽培の指導を受ける果樹普及農家。ウェンカル農業研究開発センターでの一コマ。(第1回研修東部視察)

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ドラゴンフルーツ栽培に興味津々の研修参加農家たち。(第1回研修東部視察)

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東部視察では現地の園芸農家も訪れ、多くの成功体験に触れました。

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圃場レイアウトでは、農家の希望も踏まえつつ、標高等に基づき植栽果樹を決定し、植穴の位置を測定していきます。