プロジェクト終了まで残り11ヵ月、第5回合同調整委員会を開催

2023年2月10日

2月7日(木)、王立ブータン大学科学技術単科大学(CST)ファブラボCSTレクチャールームにおいて、プロジェクトの第5回合同調整委員会(Joint Coordination Committee, JCC)が開催されました。JICAブータン事務所からは、山田智之所長が共同議長として出席し、昨年9月から今年1月までのプロジェクトの進捗の確認と、2月から8月までのプロジェクトの活動計画について議論しました。

JICAからは、ブータン事務所員、山田浩司専門家(チーフアドバイザー)に加え、当地で活動中だったプロジェクト短期専門家3名が同席、CST側も、カウンターパートに指名されている関係者に加え、昨年11月末に開催した学内アイデアソン「ラボのためのファブ(Fab for the Lab)」参加チームで、その後アイデアの試作に取り組んだ3チームの代表が出席しました。加えて、東京のJICA本部担当職員、専門家チームの一部も日本からのオンライン参加し、会場では大型液晶モニターを使ったZoom会議も併用されました。

会議前半では、プロジェクトマネージャーで、ファブラボCSTのマネージャーも兼務するカルマ・ケザンさん(電気通信学科教員)が、昨年8月25日の開所以降のファブラボCSTの活動記録と、第4回JCCで合意した成果指標の達成状況について報告しました。これに続いて、この期間中に行われた、カウンターパートの日本での研修(9月)とそこで策定した「アクションプラン」の進捗状況の報告と、10月にインドネシア・バリで開催された「第17回世界ファブラボ会議(FAB17)」への派遣チームによる、FAB17での活動報告とその後のファブラボ活用状況についての報告が、各チームの代表によって行われました。

後半は、先ず、山田浩司専門家が、次期モニタリング期間中の最大のイベントである第18回世界ファブラボ会議(FAB23)ブータン開催の日程と概要を説明したのち、さらに目下のファブラボCSTの懸案事項を列挙しました。これをうけて、カルマ・ケザン・マネージャーからは、CSTの学期日程に合わせたファブラボCSTの今後の活動日程について、概略の報告がありました。昨秋試行導入した「ユーザーズフォーラム」の再開と隔週開催や、5月7日の「ゾリグ・デー」(大学ものづくり記念日)をターゲットとしたミニ・メイカーフェアの開催などが、重要イベントとして提案されました。

その後のディスカッションでは、ファブラボCST専任マネージャーの配置や、生産受託など収入活動への対応を可能とする運営体制の構築など、プロジェクト終了後の持続可能な運営体制のあり方について、JICAとCSTのトップ間での意見交換が行われました。加えて、現在プロジェクトの運営方針について議論する場となっているJCCを開き、地元のビジネスや教育機関、地方政府などを巻き込んで、地域の公共財としてのファブラボの活用を話し合う場として、将来育てたいとするチェキ・ドルジCST学長の意向も表明されました。

JCCでは、アイデアソン参加者のうち、その後アイデアの試作に取り組んだ3チームの試作成果について報告も行われました。特に、「コード・検査器具類整理スタンド」は、すでに試作から量産段階に移行し、13台が製作され、必要とする各ラボに配備されています。

なお、JCCに先立ち、山田智之ブータン事務所長は、毎週火曜日に開催されている大学朝礼で短い講演を行い、この中でもファブラボCSTの活用を学生と教職員に対して奨励しました。

【関連リンク】

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合同調整委員会CST会場の様子(写真/Tshering Palden)

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JCCはオンライン会議も併用(写真/Yangchen Drolkar)

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アイデアソン参加チームによる発表「コード・検査器具類整理スタンド」(写真/Yangchen Drolkar)

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「コード・検査器具類整理スタンド」の利用状況(写真/Tenzin Dorji)

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アイデアソン参加チームによる、「ゾンカ語キーボード」の成果報告(写真/Tshering Palden)

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大学朝礼で講演する山田智之JICAブータン事務所長(写真/山田浩司)