(1)ASEAN地域における災害医療分野の現状と課題
近年、世界各地において自然災害発生の頻度が増加し甚大な被害をもたらしている。特に、ASEANでは1975年から2015年までに自然災害による死者数42.5万人、経済的損失1220億ドルと大きな被害を受けており、災害の種類も洪水、暴風雨、地震、土砂災害、火山、干ばつと多様である(EM-DAT)。
このような中、ASEANは防災及び災害対応にかかるASEAN域内の協力を重視しており、2005年には、ASEAN域内の防災及び災害対応協力推進のための包括的枠組であるASEAN防災・緊急対応協定(AADMER:ASEAN A…