中南米諸国向け遠隔国際研修「地上デジタル放送及び緊急警報放送システム(EWBS):活用及び経験」の実施

2020年10月30日

ペルーへの日本人専門家の派遣

ペルーは、2009年4月、地上デジタル放送に日伯方式の採用を決め、2010年3月に、首都リマにて地上デジタル放送を開始しました。JICAは、ペルーの地デジ及び地デジ日伯方式の利点である緊急警報放送システム(EWBS)の実施・普及を支援するため、2009年より、日本人長期専門家をペルーに4名派遣してきました。2019年10月より派遣中の安澤徹専門家は、ペルーのみならず中南米地域の地デジ日伯方式採用国の地デジ及びEWBSの普及支援を行っており、2020年3月にはエクアドル及びグアテマラに出張し、地デジ・EWBSの普及状況や課題について確認しました。今後中南米諸国への支援を本格化する予定でありましたが、新型コロナウィルスの感染拡大ため、日本へ一時帰国せざるを得なくなりました。

今般、安澤専門家は、日本からも引き続き、地デジ・EWBSに関するペルーや日本の経験や技術等を中南米諸国に伝えるため、ペルーの国立工科大学国立電気通信訓練研究所(INICTEL-UNI)、ペルー国際協力庁(APCI)、運輸通信省(MTC)と協力して、2020年10月12~30日、本格的な遠隔国際研修を開催しました。

中南米諸国向け遠隔国際研修の実施

10月12~30日、政府放送政策担当者及び防災担当者向けの遠隔国際研修「地上デジタル放送及び緊急警報放送システム(EWBS):活用及び経験」(全15日、1日2時間、全30時間)が行われ、日伯方式地上デジタル放送を採用するボリビア、ブラジル、コスタリカ、エクアドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、パラグアイ、ペルーの9か国から30名が参加しました。開講式において、中川JICAペルー事務所所長、ディアスINICTEL所長、アルバ国立工科大学学長、片山ペルー駐箚日本国特命全権大使より御挨拶を頂きました。

15日間に亘る遠隔研修において、ペルー、日本、エクアドル、ブラジル及び国際電気通信連合(ITU)の講師より地デジ、緊急警報、新放送技術等について講義がなされ、参加各国の地デジやEWBSの導入・進捗状況や課題が共有されました。また、実際にペルーで送信されている地デジ放送波を受信して、その放送方式や電波の強度や変調等を観察するラボ実習も行われました。

研修最終日の閉講式では、研修員に履修証明書を授与しました。また、ディアスINICTEL所長、ゴンザレスAPCI長官、小谷JICAペルー事務所次長、ナカガワ通信副大臣、アルバ国立工科大学学長から挨拶があり、研修員代表(ブラジル通信省のラモス氏)からは地デジや早期警報に関する国際的な経験や技術等が共有され充実した研修であり、学んだことを共有し実践していきたいとのコメントがなされました。

全てオンラインという初めての取組でありましたが、毎日終了時間を延長するほど活発な質疑応答が行われ、参加研修員からは高い評価と満足度が示されました。本遠隔研修が参加各国の地デジ・EWBSの更なる普及や課題解決に貢献することが期待されます。

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地デジEWBS遠隔国際研修のフライヤー

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遠隔研修システム(Q10)

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安澤専門家による講義

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地デジ電波測定機材を用いたデモンストレーション

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参加研修員

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閉講式の様子

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