「地域輝かせ隊」宇良猛氏、ペルー(アンカシュ州)で観光振興

「地域輝かせ隊」は、JICA海外協力隊として「持続可能な観光開発」に取り組む隊員のグループ名です。今回はペルーのアンカシュ州で観光振興に従事されている宇良さんを紹介します。

沖縄県出身の宇良猛さん(写真右)は、旅行会社にて旅行商品開発や添乗業務に4年にわたって従事され、協力隊派遣前の待機期間には沖縄市役所観光スポーツ振興課にて観光振興計画作成の補助、うるま市観光物産協会にて多言語での情報発信、観光案内をご経験されました。

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(インタビュアー: JICAスタッフ 五十嵐)宇良さんの任地について教えてください。

(宇良さん)任地はペルーのアンカシュ州ワラス市で、配属先はアンカシュ州政府通商観光局観光課です。世界自然遺産であるワスカラン国立公園を代表する豊かな自然と、有名なインカ文明以前の文明である世界文化遺産に登録されているチャビン遺跡を含めた遺跡群が主な観光資源です。

(五十嵐)アンカシュ州は自然も文化も楽しめる場所なのですね。

(宇良さん)はい、トレッキングや遺跡を目的に国内外から数多くの観光客が訪れます。標高5000m付近まで車で移動可能な場所が複数あるのは世界的に珍しく、辛い登山をせずとも壮大な景色を楽しめるのが魅力です。しかし、ペルーの代表的な観光都市である一方、無許可の旅行会社や衛生面で問題のあるホテルが存在し、また観光ルートや街中心部にゴミがポイ捨てされていることが課題です。

任地・ワラス市(正面がペルー最高峰のワスカラン)

任地・ワラス市(正面がペルー最高峰のワスカラン)

(五十嵐)宇良さんはアンカシュ州の持続的な観光開発を目指し、①観光ツアーの開発、②SNSを活用した情報発信、③ごみ問題への意識向上を軸に活動されていると聞いています。まずは、①について詳しく教えてください!

(宇良さん)①観光ツアーの開発では、実際に観光客を案内し意見を集めながら、配属先の観光課に対し、新たな旅行商品を提案しています。任地の強みを活かしつつ、高齢者やハンディキャップのある方でも楽しめる観光(アクセシブルツーリズム)や農村地域での農業体験、食事、宿泊等を通じた地域文化体験(ルーラルツーリズム)が出来たらと考えています。

(五十嵐)旅行会社での経験を活かされながら、活動されているのですね。続いて、②ではどのような活動をされているのでしょうか?

(宇良さん)②SNSを活用した情報発信では、観光課の職員と一緒に公式インスタグラムとフェイスブックを開設しました。美しい景観や観光スポットをスペイン語、英語、日本語で発信し、日本を含む国内外に魅力を伝えようと動画作成やハッシュタグの使い方を工夫して頑張っています。

(五十嵐)SNSでは豊かな自然、古の文化、アンデスの生活などアンカシュ州の魅力あふれる様子が伝わってきます!最後に③ごみ問題の意識向上について教えてください。

(宇良さん)③ごみ問題への意識向上では、地方自治体・地域住民・学生と協力して定期的に観光地の清掃活動を行っています。最初は地域住民の巻き込みが課題と考えていましたが、想像以上に自治体・住民共に意識が高く、多くの参加があり驚きました。今後は住民主導のツアー造成もやりたいと思っています!

(五十嵐)地域住民が観光地の環境維持や商品開発に関わっていくのはとても大事なことだと思います。これら3つの取り組みは、アンカシュ州とワラス市が持続可能な観光開発を進めていくことにつながっているのですね。宇良さん、最後にメッセージをお願いします!

トレッキングルートの清掃活動

トレッキングルートの清掃活動

(宇良さん)任地のあるアンカシュ州はワスカラン山を主とした世界自然遺産に登録されているワスカラン国立公園があり、登山のベストシーズン(5月末~8月末)には世界各国から多くの登山客が訪れます。その他にも世界文化遺産に登録されている遺跡2つを含めた遺跡群や、ビーチなど山・海・熱帯雨林全ての地域の魅力を楽しむことができる州ですので是非一度は訪れてみてください。

本記事は2024年2月に作成・公開されました。

アンカシュ州関連リンク

UNWTO特設サイト(英語記事):工事中
JICA海外協力隊リンク:https://www.jica.go.jp/volunteer/
ペルー関連情報:ペルー | 海外での取り組み - JICA

インタビュアー:
経済開発部民間セクター開発グループ 五十嵐海里(写真左)
2023年度入構。新入職員海外OJTのため3カ月間JICAペルー事務所にて勤務。経済開発部で観光案件を担当していることから、観光分野の宇良隊員の活動に同行した。観光開発を通じた地域振興に高い関心がある。好きなペルー料理はワラス名物でもあるトゥルーチャ(日本でいうマス)の丸揚げ。

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