「地域輝かせ隊」酒井貴子氏、セルビア(ズラティボル)で観光振興

「地域輝かせ隊」は、JICA海外協力隊として「持続可能な観光開発」に取り組む隊員のグループ名です。今回はセルビア共和国のズラティボルで観光振興に従事されている酒井さん(任期:2022年2月16日~2024年2月15日)を紹介します。

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Mackat村のPrsutijada(プルシュータフェア)にて

東京都出身の酒井貴子さんは、過去に日本政府観光局(JNTO)、ハワイ州観光局、東京観光財団(TCVB)で勤務され、日本国内・海外含め様々な市場の観光プロモーション等の観光関連業務に携わられてきました。現在はJICA海外協力隊員として、セルビアの山岳リゾートであるズラティボル(Zlatibor)観光協会で活動されています。

(JICAスタッフ 佐藤知美)酒井さんの任地について教えてください。

(酒井さん)ズラティボルは、夏は避暑地、冬は家族向けのスキーリゾートとして人気です。Gold Gondolaは世界最長のパノラマ式リフトとして注目を浴びているほか、スポーツツーリズムや、ヘルスツーリズムも発展中で、アウトドアアクティビティも充実しています。

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Jablanica村のセルビアの大晦日(1/13)イベントの様子

(佐藤)ズラティボル周辺にはストビチャ洞窟(Stopica cave)、ゴスティリェの滝(Gostilje waterfall)、シロゴイノ村(Sirogojno)にあるスタロ・セロ(Staro Selo)という野外博物館もあると聞いています。様々な観光資源が点在する場所なのですね。

(酒井さん)はい。ズラティボルはセルビアの中では最先端をゆく観光地であり、入館料の事前オンライン購入化やその他のデジタルサイネージ開発、エコカーやエコバイクのレンタル等様々な取り組みを積極的に行っています。しかし、ズラティボルは観光地としての成長と共に、課題も抱えています。法規制が不十分であり、正確な宿泊客情報記録が把握しきれていない点や、環境問題への意識がまだまだ低いこと、ハイシーズンに観光客が町中心エリアへ集中している点等が課題の一例です。

(佐藤)ズラティボルでの酒井さんの活動内容について教えてください。

(酒井さん)2年間の活動のうち、特筆したいのは国際的な認証団体であるGreen DestinationsのTop 100 Storiesへの応募に挑戦したことです。Green Destinationsへの申請準備として内容構想、提出資料の準備等に携わり、その結果、乳製品の地産地消の取り組みが高く評価され、Top 100 Best Practice Stories のThriving Communitiesのストーリーの一つとして、セルビアで初めて選出されました。その他、観光協会主催の文化事業の企画・運営サポートも行いました。また、「Japan Day」を企画し、日本を紹介するイベントも実施しました。

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(佐藤)日本とセルビアの交流も進展したとのこと、地域へのポジティブな影響が期待されますね。酒井さん、最後に一言お願いします!

(酒井さん)今まで国や大きな自治体等の観光プロモーションに携わってきましたが、町を歩くと皆と顔見知りになるほどの規模のコミュニティであり、ステークホルダーともよく顔を合わせ一緒に会議運営やプロモーションを行うなど、非常に密に関わることができ、現場が見え、やりがいを感じました。
活動を通して肌で観光客数の増減を感じられた経験は個人的にはとても貴重でした。英語対応不足やサービス面の向上、ウェブ等ツール制作など改善したかった点は多々ありますが、今までの経験を生かして参考になる事項についてはカウンターパートに伝えられたのではないかと思います。
今後さらなる開発計画が進む中で、観光客数のコントロール、環境へのさらなる配慮、住民生活と観光のバランスなどにもより目を向け、セルビアの「サステナブル・ツーリズム」お手本の地として、今後より持続可能な観光に対しての視野を広げ、セルビアを代表するデスティネーションになってくれることを願っています。

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本記事は2024年2月に作成・公開されました。