アグリフードチェーンにおけるイノベーション・エコシステム及び持続可能性強化のための精密・デジタル農業共創プロジェクト

(日)アグリフードチェーンにおけるイノベーション・エコシステム及び持続可能性強化のための精密・デジタル農業共創プロジェクト
(英)Collaborative Development Project for Precision and Digital Agriculture to Strengthen the Innovation Ecosystem and the Sustainability of Brazilian Agrifood Chains Project
(葡)Projeto de Desenvolvimento Colaborativo da Agricultura de Precisão e Digital para o Fortalecimento do Ecossistema de Inovação e a Sustentabilidade do Agro Brasileiro

  • スキーム:技術協力プロジェクト
  • 実施機関:農務省・灌漑、持続的開発及びイノベーション局、ブラジル農牧研究公社
  • 対象地域:ブラジリア連邦区、サンパウロ州、マットグロッソ州及びパラー州トメアス市等
  • 実施期間:2021年4月~2026年4月(5年間)

背景

ブラジル連邦共和国(以下、ブラジルという。)は、国土の約28%にあたる約23,688万haの農用地(2019, FAO)を擁すると同時に世界最大の熱帯雨林アマゾンを有する。従来型の農業開発による農牧業地の拡大は、熱帯雨林への開発圧力の高まりにもつながっており、環境面に対する負の影響を抑えた持続可能な農業開発が求められている。

近年ではICT、人工知能等の技術革新が進み、農業セクターでもこれらの技術を活用し、コストを最小化して収量の最大化を図る精密・デジタル農業が注目されている。係る状況を踏まえ、ブラジルにおいても持続可能な農業開発に精密・デジタル農業をツールの一つとして活用しようとする取り組みがなされているが、圃場から取得した複合的データを、より適切な営農・栽培に活用する技術は限定的なものとなっている。こうした状況から、ブラジル農務省はイノベーション・農村開発・灌漑局を 2018年に設立し、精密・デジタル農業推進に向けた官民の体制構築と制度・基準の策定に取り組んでいる。また、ブラジル農牧研究公社(以下、Embrapa4という。)は、2014年に策定された「The VI Embrapa’s Master Plan」、及び2018年に策定された中長期計画「ビジョン 2030」において、持続可能な次世代型農業を促進するべく、環境、社会、ガバナンス(Environment, Social, Governance:ESG)及びSDGs(Sustainable Development Goals)に配慮した精密・デジタル農業の発展に向け、農業データプラットフォームの活用、公的機関と民間企業の科学技術・情報の共有促進を通じて取り組むこととしている。本事業は、日・ブラジル間の官民連携を通じ、ブラジルにおける精密・デジタル農業をESG(環境(E:Environment)、社会(S:Social)、ガバナンス(G:Governance))の概念も踏まえて推進し、もって農業の環境・経済面での持続性向上を目的に、精密・デジタル農業の技術・情報の共有が既存組織の枠組みを越えて行われる環境が設立されることを目指すものである。

上位目標

農業の環境的・経済的持続性の向上を目指し、精密・デジタル農業のオープンイノベーション環境が形成される。

プロジェクト目標

日・ブラジル間の官民連携を通じ、精密・デジタル農業の発展が促進される。

期待される成果

  1. イノベーション・エコシステムに向け、持続可能な精密・デジタル農業を実現する人材・技術・情報交換の環境が醸成される。
  2. イノベーション・エコシステム促進により、農業デジタルプラットフォームが改善される。
  3. 各分野(作物、畜産、アグロフォレストリー)の特定技術の実証事業を実施して精密・デジタル農業データの利用可能性が確認される。
  4. 本プロジェクトの総合的ナレッジが農業イノベーション・エコシステムへ普及される。

活動

1-1.分野別分科会を形成し、実証事業のスコープを定める。
1-2.戦略書とデジタルプラットフォームと情報普及を考慮したエコシステム実施のための技術マッピングとロードマップを策定する。
1-3.戦略書ドラフトについてブラジルの官民のステークホルダーとワークショップを開催する。
1-4.各実証事業について日本側参画企業募集イベントを開催する。
1-5.各実証事業についてブラジルと日本の実施チームを選定する。

2-1.ブラジルと日本がデジタルプラットフォームの構造の初期ドラフトを作成する。
2-2.データベースの初期バージョンが実施される。
2-3.ローデータを収集する。
2-4.データ分析とモジュールの初期バージョンをデザインする。
2-5.データプラットフォームのデータの安全性と接続可能性を評価する。
2-6.データマネジメントシステムを構築する。
2-7.ビジネスマネジメントシステムの草案を作成する。

3-1.作物についての実証事業を実施する。
3-2.畜産についての実証事業を実施する。
3-3.アグロフォレストリーについての実証事業を実施する。
3‐4.各実証事業の結果をとりまとめる。

4-1.各分野の実証事業の普及活動実施計画を策定する。
4-2.各分野の実証事業についてイベントを実施する。

調査報告書

関連リンク