地方自治体と連携した無償資金協力

なぜ地方自治体の協力が必要か

開発途上国におけるインフラ整備に対するニーズは多様化しており、日本としてきめ細やかな対応が求められています。日本の地方自治体は、都市を巡る様々な課題に対応してきた経験を蓄積しており、類似の課題に直面する開発途上国の諸都市に対し、知見を提供することができます。地方自治体と開発途上国との関係構築を図り、地方自治体の技術・ノウハウの更なる普及・展開、さらには日本の地域社会の活性化を目的として、地方自治体と連携した無償資金協力の促進を図ります。

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無償資金協力とどのように連携するか

地方自治体はJICAと共に無償資金協力事業の発掘・形成を行い、JICAが実施する協力準備調査に参画していただきます。その後、相手国政府が主体となって実施する無償資金協力事業に参画していただきます。

STEP1 事業提案のコンサルテーション

草の根技術協力事業や技術協力プロジェクトなどの地方自治体の協力実績を踏まえた無償資金協力事業の案件形成に関して、JICAの無償資金協力事業の担当者とコンサルテーションを行います。コンサルテーションは国内のJICA拠点を窓口に、随時受け付けます。最寄りのJICA拠点までご連絡ください。

【図】地方自治体の方はJICAの国内拠点にご連絡、ご相談ください。JICA国内拠点からJICAの無償資金協力の担当者におつなぎします。その後、JICAの無償資金協力担当者によって、地方自治体と連携した無償資金協力の案件形成に関するコンサルテーションが行われます。

STEP2 条件付き採択

コンサルテーションのなかで優良なご提案を受けたときには、所定の様式に沿った事業提案書をご提出いただきます。その後、事業提案書の審査を行い、審査を通過した場合には、協力準備調査への参画に関する条件付き採択を通知させていただきます(協力準備調査実施に係る日本政府からの承認が、協力準備調査実施の条件となります)。条件付き採択の通知後、JICAは地方自治体の協力を受けながら案件形成を進めます。

【図】地方自治体の方はJICAに事業提案書を提出します。JICAは事業提案書の審査を行い、事業提案書が審査を通過した場合には、協力準備調査への参画に関する条件付き採択を地方自治体に通知させていただきます。

STEP3 協力準備調査

相手国政府からの正式な要請書の取付け及び協力準備調査実施に係る日本政府からの承認後、JICAは無償資金協力事業の概略設計を作成するための協力準備調査をコンサルタントとともに実施します。この協力準備調査に地方自治体から参画していただくことで、地方自治体が有する技術及びノウハウを活かした無償資金協力事業を形成します。また、必要に応じて、無償資金協力と連携した技術協力事業の形成も行います。

地方自治体の規模や経験・実績に応じて、地方自治体の海外展開に対する取組状況が異なることから、地方自治体のニーズに柔軟に対応するために、以下の2通りの協力準備調査への参画方法を設けています。

(1)アドバイザーとしての参画

地方自治体職員に、JICAへのアドバイザーとして協力準備調査に参加していただきます。地方自治体職員がJICAにアドバイスを行うことで、地方自治体が有する技術・ノウハウを無償資金協力事業に反映させます。

【図】協力準備調査にアドバイザーとして参画する場合には、地方自治体職員がJICAにアドバイスを行うことで地方自治体が有する技術・ノウハウを無償資金協力事業に反映させます。

(2)受注者としての参画

地方自治体またはその外郭団体が、コンサルタントと共同企業体を組んで、協力準備調査を受注者として実施します。この場合、JICAが実施する企画競争に応募していただきます(案件形成に携わった地方自治体が必ずしも受注できるわけではありません)。なお、競争性・公平性を担保するために、協力準備調査の実施までに収集した情報は、応募者全員に公開させていただきます。また、地方自治体の外郭団体が受注者として協力準備調査に参画する場合には、地方自治体に外郭団体にはない知見などがある場合に限り、地方自治体職員もJICAへのアドバイザーとして協力準備調査に参加することができます。

【図】協力準備調査に地方自治体またはその外郭団体がコンサルタントと共同企業体を組んで受注者として参画する場合には、JICAとの契約に基づき、協力準備調査を実施していただきます。なお、地方自治体の外郭団体が受注する場合において、地方自治体に外郭団体にはない知見などがある場合に限り、地方自治体職員もアドバイザーとして協力準備調査に参画することができます。

STEP4 無償資金協力事業の実施

協力準備調査の結果を受けて無償資金協力事業の実施が閣議決定され、政府間の交換公文締結及びJICAと相手国政府との贈与契約締結後、無償資金協力事業が相手国政府によって実施されます。
無償資金協力事業は相手国政府とコンサルタントとの契約及び相手国政府と施工業者・商社等との契約に基づき実施されます。ここで、相手国政府と契約するコンサルタントについては、JICAが協力準備調査の実施者を相手国政府に推薦し、その推薦に基づき相手国政府によって契約が締結されます。コンサルタントは施工監理業務及びソフトコンポーネントを実施します。
地方自治体は、このソフトコンポーネント、もしくは協力準備調査を通じ、無償資金協力事業と連携した技術協力事業が形成されればこれに参画します。STEP3の地方自治体の協力準備調査への参画方法によって、無償資金協力事業への参画方法も変わります。

(1)アドバイザーとしての参画

地方自治体は、整備した施設や設備の運転や維持管理に関する技術指導を相手国政府に対して行います。協力準備調査にアドバイザーとして参画した場合には、協力準備調査を実施したコンサルタントが相手国政府との契約に基づいて実施するソフトコンポーネントに、地方自治体職員がコンサルタントの補強として参画したり、JICAの技術協力事業を通じて相手国政府に対して指導を行ったりする方法があります。

コンサルタントの補強としてソフトコンポーネントに参画する場合

【図】無償資金協力事業は相手国政府とコンサルタント及び施工業者・商社との契約に基づいて実施されます。JICAは無償資金協力事業の実施状況の監理を行います。地方自治体の方が協力準備調査にアドバイザーとして参画した場合には、地方自治体職員がコンサルタントの補強として無償資金協力事業に参画する方法があります。

技術協力事業を通じて参画する場合

【図】無償資金協力事業は相手国政府とコンサルタント及び施工業者・商社との契約に基づいて実施されます。JICAは無償資金協力事業の実施状況の監理を行います。地方自治体の方が協力準備調査にアドバイザーとして参画した場合には、地方自治体職員がJICAの技術協力事業を通じて相手国政府に対して関連する指導を行う方法もあります。

(2)受注者としての参画

協力準備調査の受注者として参画した場合には、地方自治体とコンサルタントとの共同企業体は、JICAから相手国政府への推薦に基づき、相手国政府と契約を締結し、ソフトコンポーネントを実施することになります。

【図】無償資金協力事業は相手国政府とコンサルタント及び施工業者・商社との契約に基づいて実施されます。JICAは無償資金協力事業の実施状況の監理を行います。地方自治体またはその外郭団体が、協力準備調査に受注者として参画した場合には、地方自治体とコンサルタントの共同企業体はJICAから相手国政府への推薦に基づき、相手国政府と契約を締結し、ソフトコンポーネントを実施することになります。

なお、無償資金協力で整備する施設や機材の調達を行う企業は、相手国政府が実施する一般競争入札によって選定されます。

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