
外国語大学で
日本語を教える。
- 阿部 由美子さんシニア
- ウズベキスタン/
ウズベキスタン国立世界言語大学 - 職 種日本語教育
- 派遣期間2018年3月~2020年6月
首都タシケントの外国語大学に配属され1年8ヶ月。
受け身スタイルの授業に慣れた学生の学習姿勢の改善、
同僚教員に対する新しい教授法紹介、協働での実践に挑む。
私が配属された国はシルクロードの中枢に位置し、オアシス都市を中心に発展した国、ウズベキスタン共和国。諸外国に囲まれた海のない内陸国で、ウズベク語・カザフ語・タジク語・ロシア語など多様な言語・文化が複雑に交錯している地域です。
そのウズベキスタン最大の外国語大学の日本語主専攻の学生たちに、文法・会話・作文・読解・音声学といった日本語をはじめ、日本語学、日本文学を教え、日本文化を紹介するのが私のミッションです。
一方で、大学で教鞭を執っている同僚に対しては、日本語を教える能力が向上するようなサポートや教え方の指導も行っています。
高い競争率を突破し、学習意欲と複数の言語運用能力をもつ学生たちですが、ここに至るまでの教育課程で、一方的に話を聞くだけの「受身スタイルの授業」を受けてきたためか、大学でも教員が話すことを聞くだけのスタイルで授業を受けることが多く、内容に関して疑問を感じて批判をしたり、質問することが多くありません。聞くことに終始し、ノートを取らない授業態度から脱け出し「学生自ら学ぼうとする態度」への変貌が必要だと感じました。
また、それ以前の問題として、教える側の教員たち自身に、そのような能動的な教育を受けた経験が乏しいことも課題のひとつです。現地の教員自身も新たな授業方法を学びたいという意識は旺盛なので、学生への実践を同僚と協働で行おうと思い立ちました。
まず、初中級以上の読解授業では学生同士でペアを組み、意見を出し合って課題に取り組むピアラーニングを、中上級ではチームでのプロジェクト調査授業を、それぞれ実施しました。教員からではなく、クラスメート同士で学びあえる授業方式があることを知ってもらいたかったのです。
また、疑問を持つこと質問することの大切さを学部・大学院を問わず、常に学生に話すと同時に、発表後・授業内での質問タイムを意識的に設け、質問させました。論文発表会、セミナーなどでは私自身が積極的に質問し、「質問の作り方」を学生・教員に実践的に見せるようにもしました。
私はこれまでさまざまな教育機関で日本語教育に携わってきましたが、日本語教育分野での専門教育を受けたことはありません。帰国後は再び大学院に進学し、専門的に日本語教育を学びたいと考えています。大学院では、ウズベキスタンで収集したデータをもとに論文を書き、日本語教育で修士号を取得したいと思っています。
さらに、学ぶことが好きなので、様々な境遇の子どもたちが必要としていることをともに学びたいと考えています。発達障害や家庭環境の問題などで学習困難な子どもたちがいますので、日本でそのような子どもたちの役に立ちたいと思います。