
正しい知識と技術を伝え
さらなる柔道の発展を。
- 井手 龍豪さん一般
- マダガスカル/
アンタナナリヴ マダガスカル柔道連盟 - 職 種柔道
- 派遣期間2018年1月~2020年1月
柔道の精神や基礎知識、基礎技術が定着していない地域に
指導者として赴任し、活動すること1年6ヶ月。
アイデアと情熱でマダガスカルにおける柔道の発展・強化に励む。
26のクラブチームがあり、柔道への関心が高いマダガスカル。現地の指導者は柔道に対する強い熱意を持っており、みな柔道が大好きで、純粋に柔道という競技と日本の柔道に対してのリスペクトも持ってくれていました。それはすごくありがたいことです。
そんなマダガスカルで柔道のさらなる普及と、指導者に対しての基礎技術の指導。加えて、ナショナルチーム等の指導をして国際大会でも勝てる選手の育成をしてほしいという要請内容でした。マダガスカルのナショナルチームに選ばれている選手たちでさえ、まだまだ日本の中学生の全国大会と同じくらいの競技レベルなのです。
驚いたのは柔道をやる以前の問題が多いことでした。まず、礼ができていない、柔道衣を投げるなど物を大切にしない、道場の掃除もしない。柔道で一番大切な基礎練習、反復練習である「打ち込み」をきちんとやらない。それをやらないがゆえに、「受け」「受け身」のやり方をしらない。派手な投げ技ばかりをやりたがり、地味な寝技はやりたがらないという状況でした。
指導者側においても同様です。柔道に対する熱意と敬意はありましたが、正しい練習の仕方を知らず、生徒たちに教えることができていなかったのです。教わる側も教える側も、何もかも全てが中途半端でした。
まず柔道の基礎である受け身・打ち込みを教え、その上でテクニックを指導しました。わかりやすく伝えるためスマートフォンで生徒たちの動画を撮り、一緒に見ました。自分の間違った姿・上達した姿を動画で確認できるので生徒たちのモチベーションが上がってきました。
そもそもマダガスカルでは練習時間が圧倒的に足りなかったので自宅近所のスタジアムの一角を借り、週6日間、自主練習会も開催。視覚障害者柔道クラスも開設し、様々な障害を持った方も受け入れて教えています。
自主練習会には各道場の指導者も呼び、私の指導風景を公開し学んでもらいました。今では各指導者は私が教えた稽古を参考にして自分たちの道場で実践してくれています。
2018年10月アルゼンチンで行われたユースオリンピック(国際大会)で女子生徒の一人が銀メダルを獲得。国内大会で勝ち進めるようになった生徒も大勢います。指導のコツは多くの気付きを与えること。「なぜ?」を考えさせ自分で答えを出すまで導いてあげることです。それがコーチング。帰国後は、そのスキル・自分の可能性をもっと高めたいので、大学院に進学して「コーチング」を学問としてしっかり学びたいと思っています。
相手に「教える」ティーチングではなく、相手に「気づき」を引き出すコーチングをもっと身に付け、その上で自分を受け入れてくれるところがあれば日本・海外どこでも構いません。自分を必要としてくれる場で全力を注いで柔道を教え、柔道の発展に貢献したいと思っています。