松村 剛志さん

島国の気象観測データを
ICT技術で島民へ

松村 剛志さん一般
サモア/気象局
職 種コンピュータ技術
派遣期間2016年4月~2018年4月

サモアの気象局にコンピュータ技術隊員として派遣。
システム機材のメンテナンスから、ICT技術(情報通信技術)を活用した
気象情報の配信など、多岐にわたる活動を展開する。

MISSION

ICT技師として、気象局で発見したもう1つの課題。
それは「情報を伝える」ということ。

太平洋の島々は天候がとても不安定。その島々の中でも、大洋州地域の気象データ収集において、地理的に重要な位置にあるのがサモアです。国内に設置された9ヵ所の測候ポイントで気象観測データを測定し、そのデータはネットワークを介して、自動的に気象局本部に送られるシステムが構築されています。私は、その観測装置のメンテナンスとシステム管理を担当しています。
活動を進める中で、この島国では観測データや気象局の情報を「どのように住民に伝達するか」が重要だと気付き、それには自分の持っているスキル、ICT技術が役立てられると思いました。

ISSUE

気象予報が、災害情報が、
日々の暮らしと防災に生かされていない。

着任当初に驚いたのは、サモアでは気象予報をテキスト(文字情報)で配信していたことです。表現も「今日は雨が降るけれども、雷になるかもしれないし、晴れるかもしれません」といったような曖昧なものでした。
さらに、天候が不安定で自然災害などのリスクも高いサモアでは、気象局の観測データをもっと日々の生活と防災に生かすべきだと感じました。気象局長からは「サモアには災害発生時の情報解析能力はあるが、それを素早く、正確に国民に届ける方法が万全ではない」といった相談を受けました。それもそのはず、気象局のスタッフは気象のプロではありますが、ICTを利用した情報配信のスキルは持ち合わせていないのです。気象局にとっては難しい課題だったのかもしれません。

IDEA

天気予報にはアイコンを!
防災教育は津波体験ARアプリで!

まずテキスト配信だった気象予報に、天気を一目で把握できるよう「晴れ/雨」等アイコン導入を提案。コンピュータ技術職の専門性を生かし、私がスマホアプリを開発。同僚局員が自分で予報をアイコン入力し表示できるよう指導しました。アイコン表示は分かりやすいと高評価で、気象局のホームページでも使われることに。また、このアプリを利用し、サイクロン来襲時に警報を配信し島民への情報伝達に役立てました。
さらに、防災教育の一環で現地スタッフと学校を巡回し、AR(拡張現実)アプリを使った津波や洪水の疑似体験も実施。子どもたちの反応もよく、防災局や消防局からも啓発活動で使いたいと好評でした。

協力(津波体験ARアプリ):愛知工科大学 工学部 情報メディア学科 板宮研究室

CAREER

職種の枠を超え、現地の課題解決に挑んだ経験。
今後はICT×気象という分野で、途上国に貢献し続けたい。

気象局に配属され、現地の課題解決にチャレンジしていく中で、「気象」というジャンル、ビジネス分野に興味が生まれました。私の持っていたICT技術を天気予報のアイコン導入や防災教育などでアウトプットし、地元の人たちに喜ばれ、評価されたことも大きいです。青年海外協力隊に参加したことで、これまでの自分の経験には無かった全く新しい分野への挑戦ができました。
帰国後はサモアで得た経験を生かし、気象分野のコンサルタントを目指し、発展途上国に貢献したいと思っています。

SCHEDULE

松村さんのサモア生活 一日のスケジュール

  • 07:00

    07:00

    起床。自宅で朝食

  • 08:30

    08:30

    気象局まで、海岸沿いの道を徒歩で出勤

  • 09:00

    09:00

    気象局員と気象予報の検証会議

  • 10:00

    10:00

    ITルームで資料作成

  • 12:00

    12:00

    昼食(バーベキューランチを買ったり、
    同僚と食べたり、日による)

  • 13:00

    13:00

    同僚と気象観測装置の巡回メンテナンス
    (車で1時間程の場所。日に2ヵ所程)

  • 16:00

    16:00

    気象局に戻り、報告書作成など

  • 17:00

    17:00

    退勤

  • 18:00

    18:00

    夕食(自炊や外食)
    ギター演奏やインターネットなど

  • 24:00

    24:00

    就寝

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