JICA海外協力隊グローカルプログラム(派遣前型)
~国内の地域活性化にも貢献したい方のための派遣前実習制度~

JICAボランティア事業では、隊員の皆様の帰国後の活躍支援やボランティア経験の社会還元の促進にも取り組んでいます。その一環として、帰国後も日本国内の地域が抱える課題解決に取り組む意思を有するJICA海外協力隊合格者に対し、自治体等が実施する地域活性化、地方創生等の取組みにOJTとしての参加機会を提供する「グローカルプログラム(派遣前型)」を開始します。実習は合格発表後、訓練所での派遣前訓練開始前の期間で行い、日本国内の地域活性化の取組みを知る事で、海外での協力活動においても有益な実務経験や知見を得ることも期待されます。

1. プログラムの目的

  1. (1)自治体・団体等の実施する地方創生等、国内課題解決に資する活動に参加することで、国内の地域活性化に関する知識と経験を習得する。
  2. (2)途上国に派遣中の活動に必要なコミュニケーション能力や、計画策定から実施、モニタリング、評価に至るPDCAサイクルの実践経験を積む。

2. 対象者

JICA海外協力隊合格者のうち、本プログラムへの参加を希望し、下の3.の要件を満たす者。
なお、特別な理由がない限り現職参加者の参加はできません。

3. 応募要件

  1. (1)日本の地域が抱える課題解決に将来に亘り取り組む意志を有している者
  2. (2)JICAが指定する場所での活動に専念できる者
  3. (3)上記以外の応募資格要件は、協力隊等と同一
    ※ただし、受入れ先からの受入れ条件(年齢、職種等)がある場合があります。

4. 主な実習受入れ先

主な実習受入れ先と現時点で想定される実習内容は下のとおりです。なお、実習受入れ先や実習の内容は、随時追加や変更の可能性があります。

自治体 受入れ機関 受入地域・機関の概要 想定される訓練内容
岩手県陸前高田市 ①(特非)まちづくり協働センター
②(一社)トナリノ
③(特非)SET
④陸前高田しみんエネルギー(株)
⑤(合会)ぶらり気仙
※受入れ機関は今後多少の変更の可能性があります。
陸前高田市は、岩手県東南端の三陸海岸に位置する人口約18,600人のまちで、東日本大震災で壊滅的な被害を受けたが、「奇跡の一本松」をシンボルに国内外から多くの支援を頂き復興を進めてきた。震災後10年を迎え、復興祈念公園や発酵パークCAMOCY、オーガニックランドなど被災地だからこそ「命と健康を大切にするまち」、そして「ノーマライゼーションという言葉のいらないまち」として誰もが活躍できるまちとしてSDGs未来都市にもなり、多くの社会起業家やNPOにより持続可能な地域づくりのための様々な事業が展開されている。
  1. (1)市でのオリエンテーション:陸前高田の地域課題、地域おこし活動、地方行政の仕組み等
  2. (2)受入れ機関(①~⑤のいずれか)でのインターンシップを通じた地域課題解決に向けた活動、地域コミュニティとの関係形成
    1. ①市民協働による地元学教科書、地域づくりツール(ゲーム等)の作成
    2. ②地場産品PRや子育て世代の就業支援など地域のお困りごと解決に向けた事業
    3. ③広田地区における漁業・農業、コミュニティ活動支援
    4. ④市内の地産地消に向けた飲食店等の地場産品利用促進、市民向け広報活動
    5. ⑤広田湾における海中熟成酒体験事業、地元事業者連携による商品開発・PR事業
  3. (3)地元関係者及び訓練生相互の経験・学び共有、ネットワーク形成
宮城県岩沼市 JOCA東北 宮城県岩沼市では、東日本大震災発災直後から青年海外協力隊の経験者が支援活動を開始し、その後、仮設住宅の見守り支援、集団移転先でのコミュニティ形成支援活動等を実施してきた。震災から10年が経過した2021年3月、復興から創生へと進む一歩として、JOCAと岩沼市が地方創生の連携事業として、東北拠点(地域複合拠点施設)をオープン。沿岸部の被災地区を活用した交流事業、集団移転先のコミュニティ形成支援、新拠点複合施設での福祉サービスやコミュニティ支援活動を通じ、地域づくり活動を複合的に実施している。
  1. (1)複合拠点施設内の保育施設におけるプログラム企画、提供、運営支援
  2. (2)同施設内の交流施設(温泉・飲食・ウェルネスジム)における事業企画、運営補助(接客、調理等)
  3. (3)同施設等における福祉事業(高齢者・障がい者)のレクリエーション、介護業務補助
  4. (4)集団移転地区におけるコミュニティ支援活動(見守り、イベントの企画運営)
  5. (5)津波浸水地区を活用した農園、牧場、青空市場等での運営補助、イベント企画・運営
  6. (6)岩沼生涯協力隊(住民参画の地域づくり)の運営補助、企画運営
石川県輪島市 佛子園
(輪島KABULET)
輪島KABULETプロジェクトは、子どもから高齢者、障がい、国籍に関わらず地域に暮らすすべての人が活躍するまちづくりを目指し、平成26年度に内閣府まち・ひと・しごと創生本部が全国に先駆け「生涯活躍のまち」(※)先行7モデルの一つとして採択。青年海外協力隊経験者が多数移住し、彼らが中心となり輪島市中心部に点在する空き家や空き地を活用して地域の交流拠点としながら、高齢者支援、障がい者支援、子育て支援を核としてまちづくりに取り組んでいる。
※「生涯活躍のまち」: https://www.chisou.go.jp/sousei/about/ccrc/index.html
  1. (1)要援護高齢者の生活ニーズ聴取と生活必需品の購入代行の仕組みづくり
  2. (2)漆の里・生涯活躍のまちづくりプロジェクトの支援
  3. (3)石川県産業創出機構・輪島商工会議所の事業承継の取組み支援
  4. (4)体験型のプログラムの立案
長野県駒ケ根市 JOCA駒ケ根 長野県駒ケ根市は、青年海外協力隊派遣前訓練を行う訓練所がある場所で、市として、青年海外協力隊と連携した地域づくりが進められてきた。平成30年より、帰国隊員で組織するJOCA本部が東京から駒ケ根市に移転したことをきっかけに、JOCAと駒ケ根市が連携し、少子高齢化や中心市街地の空洞化が進む同市の活性化を目的とした「生涯活躍のまち」づくりに取り組み、中心市街地でのコミュニティスペースの運営、商店街活性化、健康増進事業等を実施している。
  1. (1)市民交流施設「ぱとな」の利用活性化に向けた企画、運営
  2. (2)中心市街地商店街活性化を目的とした「こまがねテラス」事業の運営支援、事業企画・運営
  3. (3)市内小中高生を対象としたSDGsや地域理解の交流プログラムの運営補助、企画・運営
  4. (4)地域住民の健康増進を目的とした「こまがね健康ステーション(保健指導、運動指導、栄養指導、運動機会拡大等)の運営補助、イベント企画・運営
鳥取県南部町 JOCA南部 鳥取県南部町では、平成28年に「生涯活躍のまち」づくりに関する地域再生計画を策定。人口減少、少子高齢化の時代に対応するため、新たな人の流れをつくる取り組みが進められている。平成29年には鳥取県、南部町、JOCAで「生涯活躍のまち」づくりの連携協定を締結、以降、青年海外協力隊経験者等が南部町に移住し、地域づくり事業に取り組んでいる。これまで、中心地域におけるコミュニティ拠店形成や子どもの見守り活動、多文化共生のイベント等を実施してきており、現在は、地域内の交流施設の運営、障が者支援活動等を行いながら、令和4年に予定されている地域交流拠点の開設に向けた準備事業を実施している。
  1. (1)地域住民向けの加工センターの運営支援、同センター内コミュニティカフェでの接客、イベント企画・運営
  2. (2)放課後児童クラブ、放課後等デイサービス(障害児支援)の支援員サポート、イベント企画・運営
  3. (3)新拠点建設予定地域におけるコミュニティカフェでの接客、コミュニティ活性化のイベント企画・運営
  4. (4)JOCA南部で実施する障害者支援(就労支援)事業の支援員サポート
  5. (5)地域向け交流イベント等の企画・運営
島根県海士町 海士町役場 島根県・隠岐諸島の中ノ島にある海士町は、かつて過疎化と財政危機に直面していたが、「ないものはない(①ないものは無くても良い、②大事なことはすべてここにある、の2重の意味)」をモットーに、「よそ者」も受入れた活力あふれるコミュニティーづくりをすすめ、日本の地方創生のトップランナーとなっている。
  1. (1)図書館やコミュニティーセンターなどの公共施設の運営補助を通じた、島民と移住者との相互理解促進
  2. (2)空き家住宅の有効活用
  3. (3)島の環境改善に向けた環境教育活動
  4. (4)隠岐島前高校の魅力化プロジェクトや隠岐國学習センターへの協力
広島県安芸太田町 JOCA×3 広島県安芸太田町は、人口6,000人、高齢化率50%を超える中山間地で、人口減少・少子高齢化の影響を大きく受けるなか、持続可能な地域づくりにつながる地方創生事業として、「生涯活躍のまち」づくりに取り組んでいる。JOCA×3は、このプロジェクトの実施団体として、平成28年より、青年海外協力隊の帰国隊員等が移住し地域づくりに取り組んできた。令和2年8月には地域交流拠点施設(温泉、食堂、福祉サービス)を開設し、地域力を高めるための様々な取り組みを実施している。
  1. (1)加計地区サポート拠点「月ヶ瀬温泉・やぶ月」(温泉、食事処、売店、集会所を持つ複合施設)での調理や接客の支援、イベント企画・運営
  2. (2)高齢者見守りのための 配食事業における調理や配食の補助
  3. (3)地元小中高生を対象とした人材育成事業の企画、運営
熊本県球磨地域(人吉市、球磨村等)、八代市、芦北町、他 熊本県の地域振興局、各市町村役場等 日本三大急流の一つである球磨川及びその支流域は、令和2年7月豪雨により甚大な被害を受けた。本地域の各行政組織は、地域住民組織とともに復旧・復興に取り組んでいる。
  1. (1)令和2年7月の豪雨災害による仮設住宅の訪問・支援
  2. (2)仮設住宅コミュニティ形成や旧居住地間のコミュニティ維持に係る支援
  3. (3)被災商店街の活性化、各種イベントの計画と実施、集落巡回活動(移動販売等)
  4. (4)農地復旧支援(高校生などの県内ボランティアの調整業務等)
  5. (5)観光PR、復旧復興ツアーの企画・運営 等

5. 実習期間

原則として3か月程度(海外派遣時期や、実習先によって異なります。)

6. 実施時期(予定)

JICA海外協力隊に合格後、訓練所での集合型の派遣前訓練開始前の期間に実施します。

※特別派遣前訓練の参加を理由にして、合格通知で指定した隊次の変更はできません。

7. 応募及び実習先決定の方法

  1. (1)JICA海外協力隊2021年春募集のウェブ応募の際、グローカルプログラムへの参加希望確認を行います。ウェブ応募が完了すると、「グローカルプログラム参加意向確認」の画面が現れますので、応募を希望する方は、参加希望にチェックをお願いします。
  2. (2)JICA海外協力隊の選考結果発表後、合格者のうち、上記(1)でグローカルプログラムへの参加を希望した方に対しては、本人希望も踏まえて協力隊事務局が実習先と実習期間を提示します。
  3. (3)合格者本人及び実習先の自治体・団体の双方に提示内容に合意いただいた上で、実習先と実習期間を決定します。

8. プログラム参加中の処遇等

  1. (1)実習生は、青年海外協力隊事務局と合意書を締結の上、JICA海外協力隊候補者として実習に参加いただきます。プログラム参加期間中は、合意書の内容を順守いただくようお願いします。
  2. (2)JICA規程に基づき、プログラム参加中の旅費、宿泊費、手当等を支給します。
  3. (3)実習中に実習の活動に起因して実習生に生じた傷病にかかる治療費等(各人の保険適用後の3割分治療費および通院に係る交通費)は、JICAの災害補償制度により補償されます。ただし、実習の活動に起因しない傷病の治療費等は個人負担となります。なお、活動中・活動外にかかわらず、訓練期間における死亡または高度障害を負った場合は、国際協力共済会の補償制度が適用されます。

9. 備考

  1. (1)本プログラムへの参加は任意です。参加によって今後の海外での協力活動や帰国後の社会還元に有益な知見を得ることが期待されますが、参加しないことによる不利益はありません。
  2. (2)個人的な事情で国内実習を中止した場合や、国内実習受講後にJICA海外協力隊としての派遣を辞退した場合、それまでに要した経費の返還を求めることがあります。
  3. (3)国内長期実習中に所定の実習成果が得られない場合や、合意書に反する行為があった場合等は、JICAの判断で国内実習を取りやめる場合があります。
  4. (4)天災や感染症拡大等の予見できない理由で、予定していたグローカルプログラムが中止又は内容(実施時期や期間を含む)の変更となった場合、JICAは一切の補償等は行えませんので、ご了承ください。

【派遣前に国内の地方創生活動に参加した隊員候補者の声】

コロナ禍下において、隊員候補者のうち希望される方は特別派遣前訓練という形で、日本各地の地域活性化や地方創生活動等に参加してきました。新たに開始するグローカルプログラムの前身ともいえるこの訓練の参加者の声をお届けします。

2021年度2次隊 モザンビーク派遣予定(経営管理) 中山舞子さん

2020年8月下旬から21年2月上旬まで、北海道河東郡上士幌町で特別派遣前訓練に参加しました。受入れ先は、まちづくに関する事業を行っている㈱生涯活躍のまちかみしほろでしたが、ゆくゆくは海外で活動する私たちにとってどういった活動が必要かを常に考慮しながら、私たちの訓練内容を考え、活動をサポートして下さいました。

受入れ先とも相談の上、上士幌では、①町の関係人口づくりを目的とする滞在型体験プログラム「MYMICHI」のモニター参加、②当該プログラムのコンテンツ立案サポートや参加者集客に向けた広報活動、③地域の困りごと解決に向けたプロジェクトの企画・実践、④高齢者向けスマートフォン講座の企画と実施に目標を定めて活動を行いました。

今回の訓練では実践的な経験を積めたことと地域との強いつながりを作れたことが最も大きな成果だったと思います。まず滞在型プログラム「MYMICHI」の立ち上げにおいては、プログラムのコンテンツ作りのサポートや、SNSやWEBサイトで町の魅力を記事にして発信することなどを通して、地域資源の発掘や活用方法を実践的に学ぶことができました。また後半の活動では、地域課題の解決を目的に町内の高齢者宅を訪問し、家の窓ふきや掃除、農家さんの手伝いなども含む多岐にわたる困りごと解決にあたりました。その中でも高齢者向けのスマホ講座を開催したことは、イベントの立案から計画策定、そして実施に至るまでの一連の実践的なノウハウを学ぶことができ大きな経験となりました。

「町のために何か役に立ちたい」という想いがあっても、それを具体的に活動として具現化し、それを結果に結びつけるというのは私たち訓練生だけではなし得なかったと思います。そういった意味で、この訓練では実際にリアルな現場に入り、受入れ先団体の方々とともに働き、実践を通して多くのことを学べたという点において非常に大きな意味があるものだったと考えます。

そして、もうひとつの大きな成果は町民の方々との関係性が作れたことです。今回私たちはまちづくり会社のサポートもあり、多くの町民の方々と触れ合う機会があったおかげで、地域住民の支えがあり様々な活動をすることができました。上士幌は今では第二の故郷のような場所になりました。途上国においても、地域住民との関係性づくりは活動する上で最も重要な要素だと思います。今回の訓練を通して学んだ地域との関わり方は派遣先でも活かしていきたいです。

隊員活動を通してお世話になったこの地域に何らかの形で還元することが私たちの使命だと考えています。もともと上士幌町は海外とのつながりが少ないと感じていたこともあり、派遣中、もしくは帰国後に私たちが海外と上士幌をつなげる架け橋となれるよう、今後もつながりを持ち続けていければと思っています。

2021年度2次隊 カメルーン派遣予定(環境教育) 梅津篤志さん

大学を卒業して間もなくJICA海外協力隊することになった私は、2020年11月4日から2021年2月3日までの3ヶ月間、特別派遣前訓練に参加し、鳥取県南部町で活動しました。受け入れ先は、南部町の地域再生計画である「生涯活躍のまち」づくりの実現に向けた地域づくり事業に取り組んでいるJOCA南部事務所です。期待された活動内容は、よそ者の視点から町内の賑わい創出に繋がる事業を企画し、訓練生が主体となって実施することでした。

着任時にはすでに数名の訓練生が活動していたため、訓練生同士で連携しながら活動を進めました。私は現地で確認したニーズに基づいて①JOCA南部事務所内のカフェ空間(サードプレイスとして)の設置 ②地域行事への参加 ③放課後児童クラブへの支援の3つを主な活動として計画しました。受け入れ先に協力隊経験者が多かったこともあり、活動に対しては温かい理解やサポートをいただくことができました。活動の成果として①の活動においてはカフェのオープンに加え、軽食メニューとして南部町の古米を使用した米粉パンの製造なども行いました。③の活動では地域の小学生と交流を深めつつ、環境教育に関する活動も行うなど、カメルーンへの派遣後を想定した活動も行うことができ、社会人経験が少ない私にとっては貴重な時間を過ごすことができました。

3ヶ月という限られた期間で地域活性化を目標とした活動を行うことは容易ではなく、やはりよそ者1人の力ではどうすることも出来ませんが、地域の発展に少しでも力になりたい、貢献したいといった思いや姿勢を持って活動することで、地元の方々との信頼関係が築かれ、それが結果として成果に結びつくということを学びました。また、地域行事への参加や住民との何気ないやりとりを通し、地域への理解を深めていくことで自分自身が少しずつ受け入れられ、地域に溶け込んでいくといった感覚も感じることができました。

今後、派遣されてからも南部町との繋がりを持ち続ける為に、インターネットを通じてカメルーンの子どもと南部町が交流できるような活動を計画中です。カメルーンでは活動内容も違えば文化も大きく違いますが、この3ヶ月で学ぶことができた課題解決に向けたアプローチ法や地域との関わりの深め方、信頼関係の作り方などはどんな場面でも必ず活きるものと感じています。