希少職種図鑑 [行政サービス]

派遣中:8人
累計:62人
分類:計画・行政分野
活動例:行政機関での業務効率の向上や職場改善など
類似職種:マーケティングなど
※人数は、青年海外協力隊派遣実績、2018年6月30日現在。

話=白川智久さん(ボツワナ・2016年度4次隊)

Q メインの活動は?

所属していた部門の職員と白川さん(中央の一番前)。一番左側にいる男性が最もお世話になった部長。給与制度の専門家が所属部局にいないことから、初年度は部長と2人で主にプロジェクトを進めた

 国家公務員の給与体系の見直しプロジェクトを担当する部局にて、部局案を作成し、部局内で共有することが主な活動です。当初部長から、関連概念の枠組みと職種グループ別の給与体系表に関する素案の作成・提案も求められました。各国政府が提供する情報を集め、関連する書籍やレポートなどを読み込みました。部長から適宜アドバイスをいただきながら、紆余曲折を経て約8カ月で素案が完成。特に、単一の給与体系を、複数の職種別(例えば、医師、看護師など)の給与体系へ分離させるにあたり、どの職種を分離し、独自の給与体系を適用すべきか、ということが争点となりました。

Q 活動の最大の困難は?

 あらゆる場面で、正確な情報が必要となりますが、その情報が維持・更新されていないか、そもそも存在していないことがありました。そのため、必要な情報を自ら収集し、編集する必要があるということが最大の困難であったと言えます。何をするにも初めに、目の前にある情報が最新の正確な情報であることを確認しなければならず、思うように作業が進まないという状況に頻繁に陥りました。私が必要としている情報を持っている人がいても、その人が情報を持っていることを、私を含め他の職員に言わないというケースもありました。

Q 試みた解決策は?

 必要な情報の入手には、私個人の信頼度を上げること、解決する知恵を持つベテラン職員の助けを真摯に求めること(彼らを巻き込むこと)が問題の解決に繋がると考えました。私自身の信頼度が上がると、特別に情報を開示してくれる職員も出てきました。関連する情報が大統領府になくても、他の省に存在する可能性があります。そのような情報は各省に広い人脈を有するベテラン職員(課長級)を介して、開示していただくことが早く、確実です。しかし、ベテラン職員は忙しく、動いていただくには、日々の仕事を通じて、私の当該プロジェクトに懸ける思いと力量を認めてもらう必要があると感じました。また、丸投げの依頼ではなく、彼らの負担がなるべく軽くなるような仕事の振り方の工夫が必要と感じました。

Q 同職種の後輩隊員にメッセージをお願いします。

 報連相、メールへのレスポンスの速さなど、事務職であればアフリカでも当然のように求められます。周囲の現地職員ができていなくても外国人の協力隊員には求められますし、課長級以上は当たり前のことを当たり前にやれるかどうかで、まずは人物判断をしていました。率先して実行する姿を見せることも大切な活動だと思います。

白川さん基礎情報

【PROFILE】
1976年生まれ、北海道出身。2001年、法学部国際関係法学科を卒業後、人材派遣会社などを経て、16年1月、協力隊に参加。18年3月、帰国。現在、ソフト開発会社に就職し、ミャンマー・ヤンゴンにてIT・日本語学校の運営に従事する。

【活動概要】
ボツワナ大統領府公務員庁にて、国家公務員向け給与体系の見直しプロジェクトを推進するため、下記の活動を行う。
●既存の国家公務員向け給与制度の理解
●日本を中心とした他国の給与制度の研究・報告
●給与制度関連概念の整理、部局案の作成・共有
●大統領府公務員庁案の作成・共有

知られざるストーリー