希少職種図鑑 [鍼灸マッサージ師]

派遣中:2人
累計:48人
分類:保健・医療
活動例:視覚障害者の職業訓練校での技術指導など
※人数は、青年海外協力隊派遣実績、2018年9月30日現在。

話=楽間優里香さん(ホンジュラス・2014年度4次隊)

Q メインの活動は?

職業訓練校の生徒に指圧の技術を伝える楽間さん(右)。活動先について「先輩隊員の功績があり、校長やCP、同僚が活動に協力的でとても恵まれた環境だった」と楽間さんは振り返る

 職業訓練校の生徒たちに指圧・あん摩技術を伝えるという活動が主でした。派遣国ではオイルマッサージが主流です。それなのになぜ指圧・あん摩の指導が必要かというと、現地では断水や停電が多いからです。大量のタオルを使い、洗濯が必要なオイルマッサージよりも、服の上から施術できる指圧・あん摩といった「手技(しゅぎ)」の方が場所を選ばず行え、衛生面でも安心です。オイル代というコストもかかりません。
 私は3代目隊員で、すでにあん摩の授業が行われており、あん摩の授業(主にマッサージの手順)の見直しをしながら指圧の授業を準備。授業は約8人の少人数で行っており、まずは座学、そして手技や手順の説明、最後は時間内に全身をマッサージする、という過程で進めていきました。

Q 活動の最大の困難は?

 生徒の年齢は16~60歳と幅広い上に、弱視から全盲、目が不自由になったタイミングもさまざまでした。日本でも目の不自由な方と接する機会がほとんどなかったので、まずはどう接すれば良いのか考えました。また、赴任当初はスペイン語力が不足しているうえ「見て真似して!」ということができなかったので、手技だけでなく自分のマッサージする体勢や、患者にどんな姿勢をとってもらえばいいかなどを伝えられずひと苦労しました。

Q 試みた解決策は?

 接し方は、赴任先の先生・生徒がとてもウエルカムで迎えてくれたので自然と解消しました。手技は、最初に私が生徒たちにマッサージをして指圧を知ってもらうことから開始。その後は、生徒が私にマッサージ→手順やマッサージをしている場所・姿勢が正しいかチェック→間違っている場合はすぐに私が生徒をマッサージ→その後再度生徒が私にマッサージ、という練習を繰り返しました。CPや同僚が素晴らしいマッサージ師で、先にしっかりと技術を理解してくれ、私の伝えられないこと(語学の問題)を生徒に伝えてくれたのも大きかったと思います。

Q この職種のやりがいを教えてください。

 私は自分の持っている知識や技術を伝えることで治療家が誕生し、その治療家たちが現地の人を治療(マッサージ)することで現地の人にも笑顔が生まれるといいな、と思い協力隊に参加しました。現状、卒業できても全員が働き口を見つけられるわけではありません。それでも、「家族にマッサージをしてあげている」「治療院をオープンした」「スパに就職が決まった」など、少しずつで良いので社会へ参加していく生徒が増えていってくれると嬉しいです。

楽間さん基礎情報




【PROFILE】
1989年生まれ、神奈川県出身。2011年湘南医療福祉専門学校東洋療法本科を卒業。同年、鍼灸・あん摩マッサージ指圧師の免許を取得し、整骨院と妊活専門の鍼灸院に勤務。15年3月、協力隊に参加。17年3月に帰国し、現在は都内の産婦人科内の一室で、妊娠中、産後、婦人科疾患に悩む方に対し、鍼灸やマッサージの治療を行っている。

【活動概要】
ホンジュラスの視覚障害者職業訓練校で生徒の自立と社会参加を目的とし、以下の活動を行う。
●今までのカリキュラム (あん摩、オイルマッサージ)や手技の見直し
●指圧の技術・知識の伝達
●資料作成

知られざるストーリー