[協力隊百景]
コミュニティ開発 × インド








飯田陽平さん(2015年度4次隊)

いいだ・ようへい●1989年生まれ、長野県出身。大学では「視覚メディア」を専攻。卒業後、カナダの旅行会社のビデオカメラマンを経て、長野県の会社に約3年間勤務。退職後の2016年3月、協力隊員としてインドに赴任。18年3月に帰国した後、スウェーデンの大学院に進学。

作成したポスター教材を使って養蚕技術の講習を行う飯田さん

作成したポスター教材が貼られた養蚕部屋

飯田さんにとって協力隊とは?

「国際協力の道に向けて進み始めた私の原点」

 飯田さんの配属先は、国内の養蚕業を所管するインド繊維省中央蚕糸(さんし)局。同局は「地域養蚕研究所」を各地に置き、それぞれの管轄地域の地理的条件のもとでどのような生産手法をとるべきかを探っている。飯田さんはそのひとつを拠点に、養蚕農家の自助グループの立ち上げや、それらを対象とした技術支援に取り組んだ。
 着任当時、現地の養蚕には「餌やりの回数」や「蚕の病気を予防するための衛生管理」など、「基本技術」に問題があった。それらについて農家に正しい知識を得てもらうために飯田さんが取った方法は、「ポスター教材」の作成だ。養蚕部屋に貼ってもらえば、いつでも目に入り、写真やイラストをメインとすれば、字が読めない農家にも理解が容易だとの判断からだった。
 印刷したポスター教材を農家に配る際は、その内容を噛み砕いて伝える講習も開催。農家には「わかりやすい」と好評で、「餌やりや手洗いの回数を以前より増やすようになった」といった声も聞かれた。

知られざるストーリー