[協力隊百景]
自動車整備 × ベナン








大野辰徳さん(2015年度4次隊)

おおの・たつのり●1988年生まれ、北海道出身。専門学校で自動車整備士の資格を取得した後、約7年間にわたり自動車整備士として働く。2016年3月、協力隊員としてベナンに赴任。18年3月に帰国。現在は、日本車の輸出なども行う自動車の商社に勤務。

実習の授業を行う大野さん

板書を教科書代わりに冷却装置の講義を行う大野さん

大野さんにとって協力隊とは?

「新たな故郷、新たな繋がりに出合えた旅」

 大野さんの配属先は、ベナンの地方都市にある職業訓練校。自動車整備コースの授業を一任されたが、着任当時、同校には教科書も実習車もなかった。かろうじてストックされていた工具や部品を教材に、その使い方や機能などを説明することから授業をスタート。着任して半年ほど経つと、他校から教科書が提供され、さらに外部から修理を求めて車が持ち込まれるようにもなり、それらが授業の幅を広げてくれた。
 任期の最後の半年、大野さんはぜひとも生徒たちに伝えておきたい技術として、「自己診断機能」の扱い方を伝えることに力を入れた。ベナンで走る車は、すでにこの機能が各部に備わっている型式のものが大半だった。ところが、この機能で特定された故障箇所を読み取る機械は高価であり、国内では普及していなかった。そうしたなかで大野さんは、その機械を使わずに故障箇所を読み取る、半ばアナログの「裏技」を伝授。教え子たちが卒業後、同国で自動車整備の仕事に就いた際に必ず重宝される技術だった。

知られざるストーリー