[協力隊百景]
理科教育 × ルワンダ








橋富加奈さん(2015年度1次隊)

はしとみ・かな●1992年生まれ、東京都出身。大学を卒業した2015年の7月に協力隊員としてルワンダに赴任。17年6月に帰国。現在は環境に関する装置を製造・販売するメーカーに勤務。

ムラサキキャベツを指示薬として水溶液の酸性/アルカリ性を調べる実験の授業を行う橋富さん

中学1年生の化学授業で講義を行う橋富さん

橋富さんにとって協力隊とは?

「一人前の人間になる修行ができた2年間」

 橋富さんの配属先は、ルワンダの地方農村部にある中等学校。求められていた活動は、化学の授業を分担しつつ、「実験授業」に慣れていない化学担当の同僚教員にその要領を伝えること。しかし、自身が実験授業を受けたことのない同僚教員は当初、その実践に二の足を踏むばかりだった。
 任期の前半、橋富さんは「学級崩壊」という壁にも直面する。授業で生徒たちの私語が止まらなくなったのだ。現地の教員が用いる「体罰」には抵抗があったことから、橋富さんは改めて生徒の顔と名前を一致させ、生徒との「一対一」の関係づくりを心がけるなどの対策を試みる。すると、次第に生徒たちの授業態度も上向いていった。
「学級崩壊」には思わぬ副産物があった。生徒をコントロールするためのフォローに入ってもらった同僚教員が、そこで橋富さんの行う実験授業の進め方を目の当たりにすることとなり、その実践への意欲が向上。やがて、自らが主体となって実験授業にチャレンジするようになってくれたのだった。

知られざるストーリー