[協力隊百景]
感染症・エイズ対策 × パプアニューギニア








島 悠樹さん(2015年度8次隊)

しま・ゆうき●1990年生まれ、大分県出身。同志社大学を卒業後、ロッテ商事(株)に入社。退職後の2016年3月、協力隊員としてパプアニューギニアに赴任。17年12月に帰国。

学校の教員を対象に、紙芝居教材の概要や使用方法を説明する島さん(右端)

島さんが作成した紙芝居教材のうち、マラリアについて解説するパートのページ例

島さんにとって協力隊とは?

「自分を優しく、そして強くしてくれた逆境」

 島さんの配属先は、パプアニューギニア・ミリンベイ州の基幹病院であるアロタウ総合病院の公衆衛生部門。同国ではマラリアや結核をはじめとする感染症の罹患率の高さが課題となっているなか、その解決に向けた住民への啓発活動の活性化に取り組んだ。
 交通手段の制約や人員不足から、配属先の同僚たちが学校や地域に赴いて啓発活動を行うことは難しかった。代わりの担い手として島さんが着目したのは、学校の教員たちだ。折に触れて、児童・生徒たちに感染症に関する講習を行ってもらおうと考えた。
 専門知識がない彼らにも独力で講習ができるよう、島さんは紙芝居形式の教材を作成。出来上がると、それを持って学校を回り、最初は島さん自身が児童・生徒を相手に講習を実演。それを教員たちに見てもらい、以後は彼らに講習を担ってもらった。すると、最初に回った4校では、感染症に関する知識を問う筆記テストの点数が平均で25パーセント上昇。その後、任期中に50校近くへの配布が実現した。

知られざるストーリー