派遣中:3人
累計:91人
分類:公共・公益事業
活動例:水源地や浄水場での水質検査及び水質データの統計分析など
類似職種:上水道、水資源開発など
※人数は、青年海外協力隊派遣実績、2018年12月31日現在。
水質検査技術の定着と検査結果のオペレーションへの反映について主に取り組みました。配属先の浄水場は、私の赴任前にJICAの無償資金協力により建設されたもので、事業担当者が水質検査スタッフやオペレーションスタッフに技術指導していたため、同僚のスタッフは基本的な操作をある程度習得していました。しかし、正確さが要求される水質検査の技術が未熟だったり、浄水の工程で使われる薬品の使用量が適当なさじ加減で決められていたりなど、技術的に改善が必要な点がありました。スタッフはシフト制で勤務しており、関係するスタッフを一度に集めることが難しかったため、赴任時から任期満了時まで、出勤中のスタッフひとりひとりに手取り足取り指導していきました。
新規の水質検査項目を立ち上げようとした際に必要な機材(薬品など)が手元になかったことです。予算不足ではなく、調達先の手がかりがありませんでした。水質検査に必要な機材は専門的な物が多く、ほとんどの物は身近な物で代用できません。手元にある機材は無償資金援助で供与された日本製品で、試薬などはいつか使用期限が切れて精度の限界を迎えます。日本からの輸入を視野に入れつつ、多少グレードを下げてでも類似品をケニア国内で調達する必要がありました。
近所の高校を訪問する機会があり、そのとき実験室を見学できれば入手可能な薬品がわかると考えました。見学した結果、私が必要とする薬品がウェブサイトもないような小さな製造業者から購入できることが判明。さらにそこから他業者も紹介してもらえるなどつながりが増えていきました。大学の研究室など、浄水場とはあまり関係のないところにも実験室があり、そこでは実験器具や試薬が使われているという、後から考えれば当然だったことを当時は見落としていました。
水質検査員は入手できる機材が限られる上に、専門品や薬品の代替方法を考案することが非常に困難なので、そういう部分が活動範囲の枠となってしまいがちです。日本では水質検査は非常にシビアな技術が要求されますが、途上国では思い切って寛容になり、許容リスクレベルを上げてしまって良いかもしれません。水の安全性などを判断するために、限られた水質検査の結果をどのように活用できるのか。それを考え、工夫することがこの職種の醍醐味になるかと思います。
【PROFILE】
1983年生まれ、静岡県出身。2009年、島根大学生物資源科学部生態環境科学科卒業後、排水処理を中心に事業展開する株式会社エステムに入社。主に計量証明事業に従事しつつ、水質汚濁改善手法について学ぶ。16年11月に退職し、17年1月より協力隊に参加。19年1月、帰国。
【活動概要】
ケニアの地方水道局に派遣され、浄水場の水質管理とオペレーション改善のための指導を目的に、以下の活動を行う。
●水質検査の技術指導
●新規水質検査項目の立ち上げ
●水質検査の浄水場オペレーションへの反映
●給水エリア内水質調査 など