希少職種図鑑 [番組制作]

職種概要

派遣中:1人
累計:30人
分類:公共・公益事業
活動例:放送局での番組の質向上支援、テレビ・ラジオ番組の制作など
類似職種:映像

※人数は、青年海外協力隊派遣実績、2019年3月31日現在。

話=稲元浩子さん(ベトナム・2016年度1次隊)

Q メインの活動は?

番組コンテンツの強化に向けて、ベトナム文化体験の日本人リポーターとして出演する稲元さん

 日本語番組のベトナム人スタッフへの日本語アナウンスの技術指導です。同僚であるスタッフは4人で、日本語の日常会話に支障はありませんでしたが、非母国語話者特有の癖が目立っていました。また、アナウンサーの経験が浅いため、視聴者により伝わりやすくするためのアナウンス技術が不足。そこで前任者同様、アナウンス技術の指導を行いました。従来の指導は、録音前から同僚と一緒に隊員が録音ブースに入り、1対1で教える方法。しかし、同僚が隊員に頼ってしまい自主性に欠けていました。そこで、隊員に頼らなくても、同僚同士が協力すれば問題を解決できると気づいてもらうため、グループレッスンの実施を提案。これにより教え合いや自主練習の習慣が身につき、アナウンス技術が向上しました。

Q 活動の最大の困難は?

 技術は向上した一方で、私と録音ブースに入ると、その完成品には私の手が加わっていて「独り立ち」はできていない状態。同僚がもう一歩踏み出すための方法を考えあぐねていました。

Q どう解決しましたか?

 同僚のひとりが「完璧に原稿を読みたい!」と言ったので「特別特訓」を実施。練習は彼女の自主性を尊重して行い、私も一緒に練習しました。2カ月後、彼女の原稿を読む技術は本人が自覚できるほど向上。最も嬉しい副産物は、周りの同僚もその変化に気づき、刺激を受けたことです。これを機に私は同僚全員に、「録音ブースに私は入らない。録音したものを最後にチェックする」ことを提案。少し不安げだった同僚でしたが、ひとりで録音できたものが合格すると彼らは喜びました。自信を得て「独り立ち」する瞬間でした。
 タイミングを逃さないこと、同僚と同じ目線に立ち、彼らを信じて能力を認めてあげること、これが私の活動で一番大切にしたことであり、成果につながったことだと思います。

Q 同職種の後輩隊員にメッセージをお願いします。

 私はアナウンスの技術指導のほかに、番組企画・制作も同僚と一緒に行っていました。ここでも大事にしたのはまずは同僚の考えを尊重し、次に、「私ならこうするかな」とアイデアを提案してみることでした。そして、体を張りました。言葉では伝わりにくいので、自らやってみせることです。私は番組制作において正解ってないと思うんです。「指導」するのではなく、「協同」した方が楽しいですよね! チームが仲良しの方がいい番組がつくれる。日本でも同じだと思います。ぜひ彼らと行動を共にし、信頼関係を築き、よいパートナーになってあげてください。

稲元さん基礎情報





【PROFILE】
1986年生まれ、宮崎県出身。2008年、西南学院大学文学部外国語学科を卒業後、宮崎のケーブルテレビ局へ入社。顧客管理業務や、電話・窓口応対業務を経て、念願の制作部に異動。約6年間、記者、リポーター、編集など、番組制作全般に携わる。16年に退職し、協力隊に参加。18年7月に帰国。

【活動概要】
ベトナム国営の外国語放送局 (VTV4)にて、ベトナムに住む日本人や現地の日本語学習者を主な視聴対象とした日本語番組 「ジャパンリンク」の質の向上を目指し、下記の活動を行った。
●日本語原稿の添削
●ベトナム人スタッフへの日本語アナウンス技術指導
●番組認知拡大に向けた広報活動 など


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知られざるストーリー