希少職種図鑑 [廃棄物処理]

職種概要

派遣中:6人
累計:33人
分類:公共・公益事業
活動例:廃棄物の管理・減量化のための計画作成や助言 など
類似職種:環境教育、環境行政 など

※人数は、2019年8月31日現在。

話=山本匡位さん(ボツワナ・2016年度4次隊)

Q メインの活動は?

配属先のスタッフと最終処理場のモニタリングをする山本さん。廃棄物処理の職種での派遣はこの数年で始まったものだが、「環境省やJICAを中心として立ち上げられたACCP(African Clean City Platform:アフリカきれいな街プラットフォーム)や、SDGs(持続可能な開発目標)などをとおして、世界的に廃棄物の適正管理への注目度が高まっています」と山本さんは話す

 配属先は、国内最大規模の廃棄物の最終処分場を管理していて、私はその運営改善に関する活動として、主に「最終処分場の残余年数(*)の算定」を行うことになりました。日本ではほとんどの廃棄物は焼却処理され、灰になった状態で最終処分場に埋め立てられるのに対し、開発途上国では焼却処理がされず、さまざまな廃棄物が混ざった状態で埋め立てられることがほとんどです。そのため廃棄物の減容化がされず、すぐに最終処分場が満杯になるので、最終処分場の状態を定期的にモニタリングすることがとても重要です。配属先の最終処分場は20年間は使える規模で建設されましたが、調査すると20年も使えないことが判明。リサイクルや埋め立て方法の改善により、最終処分場の容量を増やす提案をしました。いろいろな問題があり改善策の実現はできませんでしたが、最終的には残余年数を自分たちで計算するツールを作成し、共有しました。

Q 活動の最大の困難は?

 関係各所へ提出するレポートが多い一方で、PCの知識がない人が多かったので、レポート作成やデータの入力などの効率が悪く、フォーマットもバラバラ。データへの信頼度も非常に低く、情報収集の際にも「本当にデータは正しいのか」常に疑心暗鬼でした。

Q どう対応しましたか?

 同僚たちを巻き込こんで一緒に考え、やってみることが大切だと感じました。最初に、担当している同僚にレポートについて説明してもらい、問題点や改善点の共有を行いました。これによって、彼らがきちんとレポート(=仕事)と向き合い、注意深く観察するようになり、何のためのレポートなのか再確認することができます。次に取りまとめを行っている配属先用のフォーマットの改善に着手。新フォーマット配布の際には、皆が理解できるようにマニュアルも添付し、説明会も開催しました。

Q 同職種の後輩隊員にメッセージをお願いします。

「廃棄物管理」というと専門的な知識や経験が必要なのだと思われ、敬遠されがちだと思いますが、実際にはそこまで気負わなくてもいいのかなと思います。専門知識があるに越したことはないですが、実務経験がなくても貢献できることはたくさんあります。ボランティアである私たちが、限られた時間の中でできることはわずかなのかもしれません。2年間の活動だけでは結果を出すことはできないかもしれません。それでも現地に入り込んで密接に人とかかわることのできる私たちの強みを生かしながら、現地のためにも自分自身のためにもさまざまなことに挑戦してほしいと考えています。

* 残余年数…現在の最終処分場(埋立処分場)が満杯になるまでの残り期間の推定値。

山本さん基礎情報





【PROFILE】
1988年生まれ、宮城県出身。2011年、東洋大学国際地域学部国際地域学科を卒業後、廃棄物収集処理会社「武松商事株式会社」に入社。退職し、17年3月、協力隊に参加。19年3月に帰国。現在、東洋大学大学院国際地域学研究科にて、途上国の廃棄物最終処分場の延命化に関する研究を行っている。

【活動概要】
配属先が保有する廃棄物最終処分場の適正管理を促進するため、以下の活動を行う。
●最終処分場の運営支援および改善
●リサイクルの導入やそれに伴う分別回収などの新たな取り組みの提案
●廃棄物管理にかかる各種レポートのフォーマットの改善

知られざるストーリー