希少職種図鑑 [木工]

職種概要

派遣中:3人
累計:38人
分類:鉱工業
活動例:職業訓練校にて訓練生へ木工作業や製作指導 など
類似職種:竹工芸、手工芸

※人数は、2019年9月30日現在。

話=楳田亨樹さん(ドミニカ共和国・2016年度3次隊)

Q メインの活動は?

端材を利用して新たな商品をつくる木工組合員に、技術支援を行う楳田さん

 近年のドミニカ共和国では、他国と同様に輸入家具が大量に入荷し、価格も安価で質の良い製品が多くあります。そのためこの環境下で、中小の工房では輸入家具に対抗できる家具の生産力や販売力までの向上を期待することは、とても難しいと感じました。そこで、年々増加傾向にある欧米などからの観光客に向けた商品開発に目を向けました。2年間週に1〜2回の頻度で、木工組合員対象に講座を開催しました。講座は、商品の開発というテーマを軸に、「デザインについて」や「5S活動」を伝え、また派遣国ではやらない様な木工技術についても盛り込み、木工についての興味・関心を少しでも深める内容にしました。

Q 活動の最大の困難は?

 現地の人は仕事に対する意欲がもともと低いということが、日本との大きな違いだと感じました。収入向上につながるよう開催していた講座への出席率が低いことや、参加していても集中できないため、モチベーションをどのように高めるかというのが最大の困難でした。また、木工での十分な収入が得られないことや、工房内が乱雑になっていること、停電が頻繁に起こり作業が中断してしまうことなど、作業環境が整っていないことも原因として考えられました。

Q どう対応しましたか?

 講座への出席率を上げるために、座学だけでなくレクリエーションなども取り入れ、遊びながら参加できるようにしました。また、講座時間が長くなると空腹などで集中力が途切れてしまう参加者が多かったので、途中にご飯休憩を挟み、みんなで食事をとる時間を設けました。これにより、コミュニケーションも多く図ることができてプラスになりました。
 活動初期は、講座内で作製した作品(商品)を地域のイベントに展示するのみでしたが、作品が売れるという実感を持ってもらうため、JICA事務所での総会時に販売会を設けました。

Q 同職種の後輩隊員にメッセージをお願いします。

 日本の木工技術は繊細で正確な作業を求められますが、派遣国では環境の問題や現地の人の考え方等により日本の木工とは大きく異なります。
 そのため、日本的な木工にこだわるのではなく、現地のやり方や現地の人の考え方を早く汲み取り、実践することが活動を円滑に進めていくコツだと思います。
 日本以外の木工現場で働く経験は、さまざまな見方で考え、実践する場となるので、帰国後も環境を選ばずに活動するきっかけになると思います。楽しんでください!

楳田さん基礎情報





【PROFILE】
1989年生まれ、広島県出身。デザイン学校卒業後、6年間家具メーカーで家具のデザイン・設計製作に携わる。2017年1月、協力隊に参加し、ドミニカ共和国に派遣される。2019年1月帰国。現在は、瀬戸内海にある島に移住し地域の特産品である柑橘を生かしながら、木工製品の製作を行っている。

【活動概要】
村落部の木工組合員の工房製品の品質の改善・木工技術の向上・新たな商品の企画を目指し、以下の活動を行う。
●5S活動を組合員の各工房で実施
●技術講座を不定期で開催し、商品価値・商品の特徴が付けられるような技術を移転
●家具づくりで出る端材を利用し、観光客に向けての商品の企画・フェリア (イベント)での広報活動 など

知られざるストーリー