Award Winners in 2019
〜国際交流部門〜

国際交流活動を顕彰する賞を受賞したJICA海外協力隊OB・OGをご紹介します。

西日本国際財団 アジア貢献賞創設20周年記念特別賞

弓場秋信さん(マレーシア・溶接・1972年度2次隊)

●鹿児島県青少年国際協力体験事業実行委員会 委員長







ゆみば・あきのぶ●1948年生まれ、鹿児島県出身。協力隊に参加した後、地元・鹿児島で貿易会社の弓場貿易(株)を設立し、代表取締役に就任。同県の協力隊OBOG会の会長、「鹿児島県青年海外協力隊を支援する会」の事務局長などとして、国際交流・国際協力、協力隊事業などに関するボランティア活動にも取り組んできた。
(写真は、第27回となる昨年の鹿児島県青少年国際協力体験事業で、スリランカの協力隊員の活動現場を訪ねた中・高校生や弓場さん(前列左端)と現地の人々)


 アジア諸国などとの国際交流を推進することにより、国際相互理解の促進と国際的人材の育成を図ることなどを目的とした事業を行う公益財団法人西日本国際財団。毎年1回、「西日本国際財団アジア貢献賞」によりアジアの発展やアジアとの国際交流に貢献する九州・沖縄・山口地域の団体・個人を顕彰しているが、2018年度は賞の創設20周年を記念して特別賞「アジア貢献賞創設20周年記念特別賞」を設け、協力隊経験者の弓場秋信さんに授与した。
 弓場さんは協力隊の任期を終えた後、地元・鹿児島で貿易業を営むかたわら、1991年には県内の中・高校生に東南アジア諸国の協力隊員の活動現場を訪ねてもらう「鹿児島県青少年国際協力体験事業」をスタート。実行委員会の委員長として、これまで27回の派遣を実現してきた。派遣された中・高校生は約400人、派遣先は7カ国、約60カ所にのぼる。カンボジアでの教育や生活向上の支援も23年にわたり継続しており、今回の受賞は弓場さんが取り組んできたそうした国際交流・国際協力の活動全般を顕彰するものだ。

受賞の言葉

 鹿児島県青少年国際協力体験事業は、国際性豊かな青少年の育成や県民の「内なる国際化」などを目的に始めたボランティア活動であり、着想の原点は協力隊員として複合民族国家のマレーシアで暮らした経験にあります。開始以来、実行委員会は県の協力隊OBOG会や国際交流協会などが母体となっています。一方、カンボジアで続けてきた教育などの支援も県内の協力隊経験者たちがかかわっており、実施主体は彼らと県の教育関係者などで構成する「いっしょき学校を作いもんそ会」。今後は、協力隊経験者が県民と進めてきたこれらの活動を継続する一方、外国人に「住んで良かった」と思ってもらえる地域をつくる活動にも取り組んでいきたいと考えています。

第20回西日本国際財団アジアKids大賞

伊高哲郎さん(ヨルダン・工作機械・1992年度3次隊)

●能古島青少年育成協会 代表







いたか・てつろう●1962年生まれ、福岡県出身。協力隊に参加した後、自動車メーカー勤務を経て、2009年に福岡県の離島・能古島(のこのしま)に移住。翌年、小・中学生の健全育成と国際人の育成を目的に自然教室や国際交流事業に取り組む「能古島青少年育成協会」を設立。厚生労働省が認定する「ものづくりマイスター」の資格を持つ。
(写真は、小・中学生を対象とした自然教室に毎回組み入れている1時間の「国際協力のお話」で、世界の現状を伝える講習を行う伊高さん)


 アジア諸国などとの国際交流を推進することにより、国際相互理解の促進と国際的人材の育成を図ることなどを目的とした事業を行う公益財団法人西日本国際財団。毎年1回、九州・沖縄・山口地域におけるアジア諸国との国際交流事業を通じ、国際相互理解と国際友好親善の促進に貢献する小・中学校や団体を「西日本国際財団アジアKids大賞」により顕彰しているが、第14 回となる2018年度は、協力隊経験者の伊高哲郎さんが主宰する「能古島青少年育成協会」(以下、「協会」)が受賞した。
 伊高さんは協力隊に参加した後、神奈川県で自動車メーカーの技術者として働いた後、人口約700人の福岡県・能古島に移住。2010年に「協会」を立ち上げ、島の自然を生かした自然教室などの事業を開始した。自然教室では毎回、国際協力関係者などに講師を依頼する「国際協力のお話」を組み込むほか、島の中学生と中華人民共和国の子どもが野球で交流するプログラムや、国際交流のイベントなどを実施。今回の受賞は、国際人を育成する伊高さんの活動全般を顕彰するものだ。

受賞の言葉

 協力隊員として派遣されたヨルダンでは、火力発電所で技術指導を行うかたわら、パレスチナ難民キャンプを回って人形劇などにより子どもたちの心のケアに取り組みました。そのなかで、紛争の最大の犠牲者は子どもたちであることを目の当たりにしたのが、能古島青少年育成協会を立ち上げ、青少年育成に取り組み始めた原点です。世界でテロや紛争が頻発するなか、日本人は途上国から目を逸らし、「内向き」になりがちです。私が目指してきたのは、小・中学生が10年、20年後に途上国や難民の問題から目を逸らさず、支援活動に参画するようになるきっかけづくりです。「納得から共感へ、共感から感動へ」の思いを、今後も実践に移していきたいと考えています。

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