協力隊OB・OGが執筆・監修をし、2019年に発行された本のうち、協力隊経験を紹介するものや、協力隊経験がベースとなって取り組む現在の仕事に関するものを集めました。
初代協力隊員としてタンザニアへ渡り、目にした光景は、日本での想像をはるかに超えるものだった——。本書は、協力隊員としてだけでなく、その後もスワヒリ語の通訳者・翻訳者・指導者、あるいはスワヒリ語放送の翻訳者・アナウンサーなどとして、常にタンザニアとかかわり続けてきた著者の半生を凝縮したもの。協力隊時代のものを含むさまざまな年代の写真も掲載されており、同国の「昔と今」をつぶさに伝えてくれる一冊となっている。Kindle版あり。
うの・みどり●スワヒリ語の通訳家・翻訳家。協力隊参加後、NHK国際放送「ラジオジャパン」スワヒリ語放送の翻訳とアナウンスに従事。外務省研修所などのスワヒリ語講師を経て、現在は大学書林国際語学アカデミーでスワヒリ語を教授。著書に『はじめはここからスワヒリ語』(第三文明社)、『簡明 スワヒリ語‐日本語辞典』『簡明 日本語‐スワヒリ語辞典』など。
本書は、JICAのオフィシャルブログ「JICAボランティアの世界日記」(現・「JICA海外協力隊の世界日記」)への投稿記事を下敷きに、著者の協力隊時代の活動や生活を綴ったもの。街の様子や食事、交通手段など、エジプトの人々の日常が数々の写真とともに紹介されており、同国を旅している気分にさせてくれる。英語教育や情操教育に携わった著者の協力隊活動の描写を通じて、同国の教育現場の様子を垣間見ることもできる。Kindle版あり。
つちむね・あやこ●システムエンジニア、インターネット広告会社社員を経て、協力隊に参加。教育支援NGOに配属され、子どもたちへの英語教育や情操教育に携わる。現在はインターネット広告のシステム開発プロデューサーを務める。著書に写真集『asianari in Egypt 〜 the life is full of learning pieces 〜』(ブックコム)など。
建築や食などにフランス統治時代の面影が残るベトナムの首都ハノイ市。協力隊時代に派遣国ベトナムに魅了され、同市に移住した著者が、旅行者向けに同市の観光スポットや雑貨店、レストランなどを紹介するのが本書。著者は現地の伝統工芸を生かした生活雑貨や服飾のブランド「ante(アンテ)」を主宰しており、伝統の織物やかごバッグなど、同国の「手仕事」について解説するページも充実。同市を旅行する日本人には必携の一冊だ。
たけもり・みか●「手仕事」や「サスティナビリティ」をテーマに、現地の伝統工芸を生かした生活雑貨や服飾を扱うブランド「ante(アンテ)」を運営するアジア工芸社ベトナム(ハノイ市)の代表。協力隊に参加した後、同市に移住し、旧市街でカフェや雑貨店を経営。その後、アジア工芸社ベトナムを立ち上げる。
写真からその背景を考察する「フォトランゲージ」教材。これまで本会が写真セットやCDの形で出してきた『地球の仲間たち』を絵本の形で刊行。スリランカとニジェールを舞台に、子どもの生活を楽しく追体験できる。本文中のQRコードから主人公が使う母語を聞くことができ、出版社公式サイトのワークシートを使うと、読者も絵本の中に入り込める仕掛けがあり、子どもも大人も一緒に楽しめる絵本となっている。
かいはつきょういくをかんがえるかい●開発教育/国際理解教育を推進する任意団体。現代表の臼井さんが協力隊に参加した後、協力隊OB・OGとともに1983年に設立。教材の作成、各種イベントへの参加、講師派遣などに取り組んでいる。著書に、開発教育/国際理解教育のための教材『地球の仲間たち』シリーズがある。
政府による「地方創生」の取り組みがスタートして約5年。「地方」の課題はそれにより改善したのだろうか? 本書は、学生たちが地域と連携してまちづくりに挑戦する事例を通じて、「地方創生」の新たなあり方を展望するもの。監修者のひとりである協力隊OBの徳永さんは、「途上国における開発の経験が、日本の地方創生でも生かせる」という考えのもと、教え子である拓殖大学の学生たちとともにまちづくりにも取り組んでおり、その詳細も紹介されている。
とくなが・たつみ●拓殖大学国際学部教授。協力隊に参加した後、(社)国際建設技術協会や(株)エイト日本技術開発で研究員や開発コンサルタントとして途上国におけるインフラ開発に従事。2015年より現職。「地方創生」や「学生参加型のまちづくり活動」に関する研究・実践を進めている。
本来は食べることができる食品が、「売れ残り」などにより捨てられてしまう「食品ロス」。家庭でこれを減らす工夫をすれば、実は家計の「ロス」も減らすことができる。本書は、家庭で食品ロスを減らせる「買い物」や「保存」などのワザを紹介。「余分なものを買ってしまうのを避けるため、食品の買い物は食後に行く」「長ネギは、日持ちしない緑の部分から先に使う」など、いずれもすぐに生活に取り入れることができるワザばかりだ。Kindle版あり。
いで・るみ●食品ロス問題ジャーナリスト。株式会社office 3.11代表取締役。博士(栄養学)、修士(農学)。協力隊に参加した後、日本ケロッグ広報室長などを経て独立。食品ロス問題を全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして、2018年に第2回食生活ジャーナリスト大賞(「食文化」部門)とYahoo!ニュース個人「オーサーアワード2018」を受賞。著書に『賞味期限のウソ〜食品ロスはなぜ生まれるのか〜』(幻冬舎新書)など。
食品を買うとき、あるいは冷蔵庫から食品を取り出すときに、多くの人が気にするのが消費期限や賞味期限。それらについて正しい知識を持っていれば、まだ食べられるのに捨ててしまう「食品ロス」を減らすことができる。本書は、さまざまな食品の消費期限や賞味期限の「真実」をわかりやすく解説するもの。2019年10月1日に「食品ロスの削減の推進に関する法律(食品ロス削減推進法)」が施行され、「食品ロス」の問題が新たな時代に入った今、誰もが読んでおきたい一冊だ。
いで・るみ●食品ロス問題ジャーナリスト。株式会社office 3.11代表取締役。博士(栄養学)、修士(農学)。協力隊に参加した後、日本ケロッグ広報室長などを経て独立。食品ロス問題を全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして、2018年に第2回食生活ジャーナリスト大賞(「食文化」部門)とYahoo!ニュース個人「オーサーアワード2018」を受賞。著書に『賞味期限のウソ〜食品ロスはなぜ生まれるのか〜』(幻冬舎新書)など。