OB・OGが協力し合い
協力隊経験を活かした社会活動を展開

[帰国後]OB・OG会(NPO法人シニアボランティア経験を活かす会)

シニア海外ボランティア等経験者





[NPO法人シニアボランティア経験を活かす会]
事務所:東京都千代田区平河町1‐6‐15 USビル8F
会員数:約150人
ウェブサイト:https://jicasvob.com

シニア海外ボランティアと日系社会シニア・ボランティアのOB・OGたちで構成する団体。2004年に任意団体として発足し、05年にNPO法人格を取得。学校での国際理解教育や、外国にルーツがある児童の放課後学習の支援などに取り組んでいる。


メインの活動は出前授業

神奈川県鎌倉市の市立中学校で国際理解教育の授業を行った「会」のメンバーと外国人研修員たち。生徒と研修員が英語でコミュニケーションを図る内容の授業だった

 途上国で現地の人とともに暮らし、働くという経験は、日本人の誰にでもそのチャンスがあるわけではない。協力隊はそうした貴重な経験だからこそ、帰国後、それをいかんなく発揮できるような仕事やボランティア活動に携わりたいと多くのOB・OGは願う。それを実現する方法のひとつとなっているのが、「派遣国」や「職種」、「居住地域」などさまざまな共通項を持つ者で「OB・OG会」を結成し、協力隊経験を生かした社会活動に共同で取り組むというものである。
 シニア海外ボランティアや日系社会シニア・ボランティアのOB・OGにより構成されるNPO法人シニアボランティア経験を活かす会(以下、「会」)は、OB・OG会のなかでも特に活発な活動を展開している例だ。メインの活動のひとつは「出前授業」。もっとも多いのが、小・中学校の「総合的な学習の時間」のコマに参加して行う国際理解教育の授業だ。教育委員会や学校などからの委託によるもので、「会」のメンバーがそれぞれの派遣国について紹介する。できる限りJICAのプログラムで来日している外国人研修員に同伴を依頼し、日本の子どもたちに「外国人」とじかに接する機会を提供するよう努めている。
 そのほか、外国にルーツがある児童の放課後学習の支援や、小学校の保護者向け配布プリントの翻訳なども行っている。それらは主に、新宿区や杉並区など外国にルーツがある児童が多い区の教育委員会からの委託によるものだ。

経験を活かす場を生む役割

「会」の最大の強みは、各種業界で長年にわたりキャリアを積んできた「スペシャリスト」が揃っている点。メンバーがそれぞれの得意技を生かしながら「会」の運営を支えている。たとえば、小学校の教員として校長まで勤め上げたメンバーは、出前授業のリーダー役となり、「どの学年の子には、どのような内容・ボリュームの授業が適切か」といったノウハウをメンバーたちに周知している。
 出前授業については、月に1度の「出前講座委員会」でアイデアの共有や改善点の検討なども行っている。そうした努力の結果、「質の高い授業をしてくれる団体」との評価が定着し、「会」に舞い込む出前授業の依頼は現在、多い月で20件を超す。電機メーカーで技術者を務めていた「会」の副理事長、森岡潔さん(SV/ヨルダン・電子工学・2013年度3次隊)は、「組織の力は大きい」と話す。
「『会』があるから、協力隊経験を活かす場を得ることができている。1人では何もできなかっただろうと思います。これから協力隊に参加されるシニア世代の方々のためにも、今後さらに『会』の力を伸ばしていければと考えています」

知られざるストーリー