希少職種図鑑 [電気・電子機器]

職種概要

派遣中:2人
累計:766人
分類:鉱工業
活動例:専門学校などで学生への電気・電子の講義と実習 など
類似職種:電気・電子設備、電子工学 など

※人数は、2020年1月31日現在。

話=水野勝二さん(シニア海外ボランティア/スリランカ・2016年度2次隊)

Q メインの活動は?

ロボットがどのような仕事ができるのか、どのような目的で使われるかを学生に指導する水野さん(右端)。ロボットを復元後、実習指導をするためにはコンベアー、搬送物などの周辺装置が必要だったが、購入には大学側の数多くの手続きが必要だったため購入を諦め、ダンボールを加工して周辺装置を製作し、代用した

 職業訓練大学において、自動制御技術(主にPLC〈*〉、産業用ロボットアーム)の実習指導として、学生に与えられるプロジェクト(各種自動制御装置の製作)の指導監督を行いました。配属直後は、状況把握と活動内容の模索のため、同僚と話し合い、授業に同行し、大学に慣れることから始めました。
 約3カ月後、長期間放置されていた日本製の産業用ロボットを実習機材として使えるようにしてほしいと同僚に言われ、復元を試みましたが、バックアップの電池切れですべてのデータが消えてしまい、操作不能状態で途方に暮れてしまいました。特殊な電池であるため、スリランカでは手配ができず、シンガポールから取り寄せることになり、実際動かせる状態になるまでに3カ月程かかってしまいました。

* PLC…機械制御用マイクロコンピュータ

Q 活動の最大の困難は?

 ロボット復元後、授業を開始し、最初は多くの生徒が参加してくれたのですが、回数を重ねるうちに出席率が悪くなりどうしたら良いか困りました。技術的な問題は自分自身の努力である程度解決すると思うのですが、教育の大変さを感じさせられました。

Q どう対応しましたか?

 同僚に出席率を上げる方法を相談したところ、同僚自ら生徒に実習の必要性を説いてくれました。また、興味を持てるよう実習内容を工夫し、レポートの提出期限厳守、遅刻、早退、欠席の場合成績に影響するなどの措置を取りました。すぐには結果は出ず半ば諦め気味でしたが、出席率が悪いからと授業を諦めては何も解決できないので、真面目に出席する生徒が少しでもいる限り授業を続けた結果、実習の意義を理解してくれたのか、最終的に少しは出席率がよくなりました。

Q 同職種の後輩隊員にメッセージをお願いします。

 スリランカの公立学校の教育費は小学校から大学まで無料、授業は座学中心で、単位と無関係の実習には興味を持ちません。また、宗教的行事があり、星占いで人生や予定を決め、家族とのつながりも日常生活の中で重要視されているなど、学業よりも文化的な習慣が優先されるため、自分の描いていた活動目標、目的は十分に達成できたとはいえません。しかし、派遣国の人たちとの触れ合い、考え方、文化、風習、歴史、風景などすべてが新鮮で、楽しく過ごせた2年間でした。
 活動の成果を上げることも大事かと思いますが、皆さんも派遣国の人たちと行動を共にし、彼らの考え方、文化を体験し共有してもらいたいと思います。健康、安全に気をつけ、楽しい派遣期間を過ごしてください。

水野さん基礎情報





【PROFILE】
1950年生まれ、静岡県出身。68年に静岡県立工業高校電気科を卒業し、現パナソニックを経て、商社に勤める。その後、地元静岡に戻り、金属加工会社で工場長として16年間勤務後、機械制御装置の会社を起業。2009年、電気・電子機器のシニア海外ボランティアとしてザンビアの職業訓練校で活動した。11年に帰国後、元の事業を再開。16年より、シニア海外ボランティアとしてスリランカに派遣。18年9月の帰国後に事業を再開。

【活動概要】
職業訓練大学(UNIVOTEC) のメカトロニクス学科に配属され以下の活動を行う。
●PLC(機械制御用マイクロコンピュータ)、およびアルディーノ(C言語による制御用マイクロコンピュータ)の基礎知識、操作方法を同僚および学生へ実習指導
●学生に与えられるプロジェクトの指導監督 など

※派遣名称は派遣当時のものです。

知られざるストーリー