希少職種図鑑 [品質管理・生産性向上]

職種概要

派遣中:1人
累計:36人
分類:商業・観光
活動例:企業の品質向上のための5S・KAIZENの指導 など
類似職種:経営管理 など

※人数は、2020年1月31日現在。

話=卯田洋介さん(フィジー・2017年度3次隊)

Q メインの活動は?

配属先の5S、改善活動の委員会メンバー。委員会メンバーは、フィジー系2人、インド系2人と卯田さん(右端)の計5人

 配属先は海外から仕入れた医薬品を一括で管理している国立医薬品物流センター。センター内の医薬品はフィジー全土、周辺各国へ供給されます。問題点は倉庫内での商品過多で、それにより部材の探索の無駄時間や、破損、通路の妨げ、誤発送などさまざまな障害が発生していました。それらを改善させる取り組みを、5S、改善活動をとおして実施。活動は、既存の5Sチームと協力して進めていきました。
 たとえば、注文書に沿って商品をピッキングするにあたり、物を探す時間や誤った商品を取ることを防ぐため、商品棚に名前のタグを張り付け、「見える化」を図りました。また、回転率の高い商品を棚の上段から下段に配置し、フォークリフトでの商品ピッキングによる時間を削減させました。こうした活動を持続させ、習慣化させるために毎週清掃活動を行っていました。

Q 活動の最大の困難は?

 カウンターパートが多忙で会議に参加できないないことや、同僚がモニタリング実施のときに集まらないことなど、日程どおりに活動を進めることに困難を感じました。周りを巻き込んで活動を進めることが、成果を上げるポイントだと思っていたので、最初の1年はいかに周りに動いてもらえるか、試行錯誤していました。

Q 試みた解決策は?

 週1回の会議と清掃活動は必須として開催し、清掃活動時は各部署のモニタリングや評価を行い、優秀部署に対して表彰を行うなど、モチベーション向上への取り組みを行いました。また、現地の人が使用している通話アプリでチームのグループをつくり、情報を共有。それでもどうしても、業務多忙で参加できない人が多くなることがあったので、新たなメンバーを勧誘して活動を進めていきました。継続的にこれらの促進活動を続けてきたことにより、2年目には5Sに対する意識は向上したと思います。

Q 同職種の後輩隊員にメッセージをお願いします。

 生産性向上のための5Sや業務改善は、仕事以外に私生活でも必要とされるもので、写真などによる改善の前後比較がしやすく、目に見えてわかる成果が出しやすい取り組みです。また業務改善の実施による無駄時間削減により原価削減にもつながります。非常にやりがいのある職種だと思います。
 他人の行動や、習慣、ルールを変えて新たなことを始めるためには何より人を巻き込む力が必要となります。いかに人を巻き込んで業務を円滑に進めるかに一番労力を使いましたが、これらの経験を海外で積めることは、将来大きな財産になると思います。

卯田さん基礎情報





【PROFILE】
1984年生まれ、滋賀県出身。2010年、京都外国語大学外国語学部英米語学科を卒業後、株式会社イマックに入社。LED照明のメーカーで生産管理、品質管理のなどの業務を受け持つ。8年間の職務経験後、退職し、18年1月、協力隊に参加。フィジーの国立医薬品センターで活動する。20年1月、帰国。

【活動概要】
5Sや、改善活動を通して、生産性向上のため主に以下に取り組む。
●業務のムラ、ムダなどを指摘、改善案の提案
●各部署への5Sトレーニングセッションの開催
●週1度の清掃活動の実施
●チェックシートを元に各部署へのモニタリング、アセスメント など

知られざるストーリー