希少職種図鑑 [映像]

職種概要

派遣中:1人
累計:46人
分類:公共・公益事業
活動例:職業訓練学校などで生徒や教師へ映像制作の技術移転を行う
類似職種:番組制作、視聴覚教育 など

※人数は、2020年1月31日現在。

話=安達弓華さん(ボリビア・2017年度1次隊)

Q メインの活動は?

生徒と撮影を行う安達さん(右)。ビデオ撮影・編集・照明・音響と映像制作にかかわる技術を伝えた

 ボリビアにおいて映像技術はテレビを見ていてもコマーシャルを見てもそれほど高くないと感じました。映像の専門学校はありましたが、授業料が高く、良い技術を学べる人は限られていました。私が配属された学校は、授業料は安いものの、教師の技術力が不足しており、生徒は十分な技術を学ぶことができていませんでした。この問題を解決するために、教師と共に授業を行い、技術が不足している部分を補佐する形で活動を行いました。最初は、教師すらも授業に遅れてくる、やる気がないなど散々でしたが、日本の映像を見せたり、新しい技術を紹介したりすることで生徒が少しずつ興味を持ち始め、授業で質問をするなど積極的な参加が増えていきました。

Q 活動の最大の困難は?

 環境整備による技術向上を目指す目的で録音スタジオを創設することが一番の困難でした。スタジオを設計した経験がなかったため、知り合いのツテで情報を収集し、創設に必要な機材などのコストを計算。同僚の助けを借りながら細かい企画書を制作。学長の許可を得るまでに約8カ月。機材を集め、倉庫になっていたスタジオ予定地を掃除し、建築学科の教師の手を借りて、外枠を創設。スタジオ内を整備し、完成までに約1年かかりました。

Q どう乗り越えましたか?

 1人で行うことは不可能でさまざまな人の協力が必要でした。協力者を得るために何度も足を運び、質問したり、催促したり、なぜ必要なのか熱意を伝えたりすることが大切でした。語学力不足で思いが伝わらず、相手も自分もイライラすることが多かったように感じます。それでも諦めずに何度も訴えることで、理解を得て、無事にスタジオを創設することができました。

Q 同職種の後輩隊員にメッセージをお願いします。

 私は自分の技術が途上国で本当に役に立つかどうか不安でした。しかし、日本では初歩的な技術が途上国では知られておらず、感心されることがたくさんあり、自分の技術に誇りを持てました。それと同時に、学んだことも多く、生徒が制作した映像を見せてもらうことで、表現の幅が広がりました。「自分の技術がたった1人でもいい、少しでもその人の人生の役に立ってくれたら」という思いで活動することで、気持ちも楽になり、楽しく活動することができました。
 現役隊員さんや未来の隊員さんにお伝えしたいのですが、映像は未来に残せるもの、世界に派遣国を知ってもらえる最高の媒体です。活動を写真に撮る隊員さんは多いですが、写真以外にぜひ映像も残しましょう!

安達さん基礎情報





【PROFILE】
1984年生まれ、北海道出身。地元大学のメディア学科を卒業後、テレビ制作会社に入社、ディレクター業務などを経験し、退職。その後、結婚式場にてビデオカメラマンとして撮影、編集を担当し、退職。2017年6月、青年海外協力隊員としてボリビアに赴任。19年6月、帰国。現在は、スペイン語強化と異文化への理解を深めるためメキシコにて事務職兼広報業務に従事している。

【活動概要】
職業訓練学校の映像コースにて教師や生徒の技術向上を目指し、以下の活動を行う。
●教師の補佐として授業で直接指導
●講演会において、最新技術の紹介
●環境整備として録音スタジオを創設
また、広報の一環として、JICAボリビア記念行事や日系社会の映像も制作した。

知られざるストーリー