希少職種図鑑 [農林統計]

職種概要

派遣中:0人
累計:17人
分類:農林水産
活動例:農業生産・研究の向上を目指したデータの調査や提案などを行う
類似職種:統計

※人数は、2020年1月31日現在。

話=蔀 大輝さん(ウガンダ・2017年度1次隊)

Q メインの活動は?

農民へのインタビュー調査をする蔀さん(左)。調査中に農民から「稲作技術研修で稲作についての知識や適切な管理の仕方を学んだことによりコメの収量が増加した。収入が増えたことにより、子どもの学費などを賄うことができるようになった」という嬉しい話も聞くことができたそうだ

 ウガンダでは、JICAによる稲作産業発展のための支援が15年以上にわたり行われています。私が協力隊として赴任した当時、PRiDe(*)フェーズ1(2011〜2019年)が実施されており、国内におけるコメ生産量の増大を目標に、現地の農業普及員や農民に対して稲作技術研修を実施していました。しかし、研究所内において社会科学分野に人員が不足していたこともあり、これまでに十分な社会調査が行われておらず、研修による農民への効果ははっきりと把握されていませんでした。このような経緯により、これまでに研修を受講した農民を対象に社会調査を行い、研修による効果や課題を明らかにしました。陸稲・水稲栽培地域において長期間の調査を3回実施し、合計で300人以上の農民にインタビュー調査を行いました。

*PRiDe…Promotion of Rice Development。コメ振興プロジェクト。

Q 活動の最大の困難は?

 インタビュー調査では、研修後の技術採用率やコメ収量の推移、各作業への投資金額や労働投入量など様々なことについて聞き取りをしました。調査期間中は予想外の出来事が日常的に起きました。例えば、調査に同行予定であった通訳が調査開始前日に突然消えたことや、約束の場所や日時に農民が来なかったこと、当時貸与されていたバイクがウガンダの警察と同じ車種であったため、農民を逮捕しに回っていると勘違いされたことなど、頭を悩ます出来事が非常に多く起きました。

Q どう対応しましたか?

 現場における状況の変化にすぐに対応することが求められました。例えば、常に代替案を持つことや達成段階を1段階または2段階下げるなどがありました。状況の変化に対応した「現段階におけるベストな選択は何か?」と常に考えることで、多少のトラブルには対応できるようになりました。また、うまくいかないことが起きても「こんなもんだろう」と気軽に構えるように意識を変えるようにしました。

Q 派遣予定の同職種の隊員にメッセージをお願いします。

 社会調査にはさまざまな方法があり、調査設計や調査実施においては実施者のセンスが問われると思います。正解もなく間違いもありません。そのため、何をしたらいいのだろうかと迷うことがあると思います。
 もし、私のように農村にて農民にインタビュー調査などを実施する場合は、はじめに「自己紹介」から始めてください。そして、調査の目的などを農民にしっかりと説明し、インタビュー調査への許可を得てください。この過程がとても重要です。あとは農民の話をしっかりと聞くだけです。

蔀さん基礎情報





【PROFILE】
1992年生まれ、茨城県出身。2015年日本大学を卒業後、修士課程に進学し、ミャンマー山岳地帯における社会開発について研究に従事する。博士課程在学中の17年6月、青年海外協力隊員としてウガンダに赴任。19年6月、帰国。現在は、隊員時に配属されていたJICA技術協力プロジェクトで専門家として働いている。

【活動概要】
国立農作物資源研究所に配属され、ウガンダにて実施されている技術協力プロジェクト「コメ振興プロジェクト」の効果を明らかにするためにインパクト調査を実施した。主な活動は以下のとおり。
●プロジェクト対象地域おける農民へのインタビュー調査
●インタビュー調査を基にしたプロジェクトへの改善策の提案

知られざるストーリー