希少職種図鑑 [道路]

職種概要

派遣中:1人
累計:74人
分類:公共・公益事業
活動例:インフラ整備の視点からの道路工事・整備の技術的支援 など
類似職種:土木

※人数は、2020年4月30日現在。

話=野口芳夫さん(シニア海外ボランティア/パラオ・2018年度1次隊)

Q メインの活動は?

CPと橋梁施設の点検を行う野口さん。活動後半で現場経験の豊富な1人目のCPの退職がわかり、今後の道路、橋梁などの維持管理の指導が懸念されたが、任期満了1カ月前に新職員(2人目のCP)が配属。時間的余裕がなく、現地で要点を指導し、不明な点はメールで対応する旨を伝えて帰国した

 配属先の要望が、道路施設の調査、維持管理の助言、工事の安全管理でしたので、メンテナンスサイクル(PDCA)の構築、技術向上と安全管理を活動目標としました。しかし、施設に関する情報や図書がない、人員不足、予算不足、連絡体制の不備などがあったので、台帳を作成するための基本情報の収集とマニュアル作成用の点検調査を中心に活動しました。
 1年間かけて点検調査とその後の経過観察を実施しました。結果、橋梁とカルバートボックス(*1)の劣化が進行していることが判明したので、補修工事の設計を配属先の設計部署であるCIP(*2)に依頼しました。また、情報収集、点検調査の結果を基に、予防的保全を目的とした維持管理計画書や判定基準等を作成(素案)することができました。任期満了直前に新職員(建築科卒)が2人目のカウンターパート(以下、CP)になったので、今後の維持管理すべき項目とその必要性を説明し、台帳の見直し、定期点検・調査と経過観察を引き続き実施し、記録するよう指導しました。

*1 カルバートボックス…道路下に埋設し、主に水路や通信線などの収容に使われる箱型のコンクリート構造物。
*2 CIP…Capital Improvement Project。首都圏改善計画部。

Q 活動の最大の困難は?

 点検調査の結果、経過観察が必要な施設があり、定期的に点検を実施することにしました。配属先には計測器具がないため、国士調査局測量部に依頼していましたが、別件の業務があったり、担当者が不在であったりなどで予定通り進まず、また測量結果も1〜2カ月後に提出され、計画が立てづらいことがありました。

Q どう乗り越えましたか?

 常にCPと相談しながら、事前に何度も確認し、急な変更があった場合の対応策として3案を準備していました。困難を乗り越えることができた背景として、CPの行動が素早かったことも大きいです。

Q 同職種の後輩隊員にメッセージをお願いします。

 道路の維持管理関係に伴う活動において、円滑に進めるために行ったこととして「信頼関係を築いたこと」が挙げられます。現地の管理方法や考え方を尊重し、常に「教えてもらう」という心構えで、すぐに報告・連絡・相談と提案・助言をすることが良かったかもしれません。また、「現場を知る」ことも挙げられます。不明点・疑問点があったときは現場に出向き、原因や影響度等々を調査することで理解ができます。創意工夫しながら活動し、成功も失敗もありますが、限られた期間の中で多くのことを体験することは、大きな財産かと思います。ぜひ、異なる環境で、人とかかわり、新しい発見をしてください。

野口さん基礎情報





【PROFILE】
1958年生まれ、長崎県出身。長崎県立建設大学土木科を卒業後、市役所で建設関係の業務に従事する。97年4月、青年海外協力隊員として、土木施工職種でケニアに赴任 (現職参加)。99年4月、帰国。2018年4月、定年退職と同時に、シニア海外ボランティアとしてパラオに赴任。20年3月、帰国。

【活動概要】
パラオ公共事業局に配属され、道路・設備課において同局が管理する道路、橋梁などの施設の適正な維持管理を目指し、次の活動を行う。
●道路、橋梁施設の日常点検・定期点検や台帳作成
●予防的保全を目指した維持管理計画の作成
●技術の向上と安全管理を現地職員への技術移転 など

※派遣名称は派遣当時のものです。

知られざるストーリー