希少職種図鑑 [建設機械]

職種概要

派遣中:0人
累計:134人
分類:鉱工業
活動例:建設機械の点検・修理や保守管理についての支援 など
類似職種:自動車整備

※人数は、2020年6月30日現在。

話=吉川隼人さん(ブータン・2017年度2次隊)

Q メインの活動は?

山奥にある道路建設現場に出張し、現場周辺にある寺院の人たちや住民と交流する吉川さん(左から4人目)と現場スタッフたち

 建設機械の故障前メンテナンスの向上です。機械運転者は100人程、修理技術者は10人程いましたが、故障後の対応が主となっていたため工事現場のストップ、修理の長期化が問題になっていました。農道建設を進めることが配属先の役割だったので、いかにして機械が稼働し続けられるかを活動のメインに設定しました。
 修理技術者は時間をかければ故障を直せたため、修理発生時には故障箇所以外のメンテナンス点検を同時に実施し、必要部品の確保、次回の修理計画の作成などを行いました。機械運転者には故障後の報告ではなく日常的に点検し、異常が出る前に報告ができるように、点検方法と、あるべき工具の確認表作成などを行いました。

Q 活動の最大の困難は?

 機械の故障に対する考え方の違い をどうわかってもらうかということに一番時間を費やしました。私は壊れる前に修理する予防保全が重要であると考えていましたが、現地スタッフは消耗部品を定期交換するまでで必要十分であるとの考えでした。機械運転者からの報告や、修理技術者が修理の際についでに点検するなど、ちょっとした気配りで解消できる予防保全という方法が、日本式の過剰サービスと捉えられたこともありました。

Q どう解決しましたか?

 修理記録の管理と修理内容の連絡です。修理技術者には修理記録を残してもらいました。1つの故障が後日どのような修理に発展するのか意識してもらい、機械へのダメージがどう分散されているのかを想像しやすくしました。これにより、予防保全によって近日再度別の箇所を修理する必要がなくなることを理解し、過剰なサービスではなく仕事量の削減という自分たちのためだと感じてもらえました。機械運転者には修理内容の連絡をしてもらうことで、日常の報告と予防保全の関連性に気づいてもらえました。

Q 派遣予定の同職種の隊員にメッセージをお願いします。

 建設機械は現場で稼働してこそ輝きます。現場の地域環境や住民たちとの交流、建設物が今後どのような効果を生み出すのか感じられることは、この職種ならではの醍醐味です。また、活動中は予算・人員・備品と必要な物が多く出てきます。派遣国にないものをどう代用するか、入手方法はどうするかなどを考えることを楽しんでください。車の車検のような制度がない場合、動けば良いというのが1つの正解の場合もあります。完璧でなくとも安全で末永く使えることが目的のときは、現地に馴染む方法を現地の人と一緒に考えていくのが良いと思います。

吉川さん基礎情報





【PROFILE】
1981年生まれ、滋賀県出身。大学の経営情報学部を卒業後、建設機械の民間会社で13年勤務。営業・修理メンテナンスなど建設機械を直接扱う業務に携わる。2017年10月、青年海外協力隊員としてブータンに赴任。19年10月に帰国。

【活動概要】
ブータンの農林省管轄、農村道路建設などを行う組織中央機械化センターにて、保有農道建設機械、油圧ショベル・ロードローラーなどの維持管理向上のため、以下の活動を行う。
●修理技術者への故障前メンテナンスのマニュアル作成・実施
●機械運転者への機械チェックマニュアルの作成・実施
●修理工場内の修理設備・部品庫の5S
●山奥の建設現場への出張修理 など

知られざるストーリー