希少職種図鑑 [養殖]

職種概要

派遣中:1人
累計:27人
分類:農林水産
活動例:水産局や養殖センターにおける養殖技術の向上支援 など
類似職種:水産開発

※人数は、2020年8月31日現在。

話=佐々木 拓さん(コロンビア・2017年度1次隊)

Q メインの活動は?

現地漁業者の協力のもと、同僚と稚魚の餌になるプランクトンを採取する佐々木さん。配属先の大学はコロンビアで唯一水産学科のある大学であり、養殖技術開発の研究に積極的に取り組んでいる

 私はコロンビア国内で唯一水産学科を抱えるマグダレナ大学に派遣されました。2015年に始まった鹿児島大学とJICAの大学連携事業の一環で、私は当大学の水産学科にある養殖技術開発研究室で活動を行いました。この研究室では魚を卵から成体まで育てた後、再び産卵させる「魚類の再生産技術の開発」を目的とした研究を行っていました。魚類の再生産のためには、死亡率の最も高い稚魚期の飼育管理が特に重要です。そのため、稚魚の餌であるプランクトンの採取や最適な培養方法の模索、学生を対象としたプランクトンの培養方法に関する実習などを行い、飼育管理技術の向上を目指しました。また学生と一緒に培養した餌を用いて、試験的に熱帯魚の稚魚等も飼育しました。

Q 活動の最大の困難は?

 現地の方との時間の調整です。国際協力の観点からも、隊員と現地パートナーが一緒に活動を行うことが望ましいですが、私の主たるパートナーである学生は自身の卒業研究や授業で忙しく、餌の培養等に参加してもらうことが困難でした。結果として活動1年目は、私1人で活動を進めてしまい、私の心の中に葛藤が生まれました。現地学生や教授からも稚魚飼育、餌培養等は私専用のプロジェクトであると認識されてしまったことがあり、一緒に活動することが難しくなってしまいました。

Q どう解決しましたか?

 現地の方を頼り、積極的にヘルプを出すことにしました。2年目には語学にも慣れ、学生とコミュニケーションが取りやすくなっていたので、積極的に「手伝って」と伝えることで、作業を一緒に行えるようになりました。学生にも当事者意識が芽生え、稚魚飼育のための現地資料などを収集してくれたり、主体となってプランクトンを培養するための装置を作成してくれたりもするようになりました。

Q 派遣予定の同職種の隊員にメッセージをお願いします。

 自然相手の職種ということで思ったような成果はなかなか出ないかもしれません。ただ自然好きの人にとってみれば、日本では飼育できない魚が飼育できたり、餌として有用なプランクトンを探したりできるチャンスでもあります。発見したことや興味を持ったことを、現地の人に情熱を持って説明すれば、現地の人もその内容に興味を持ってくれます。私自身もそこから新たな活動につながったことがありました。もし、この職種で活動することがあれば、現地の人と自然に積極的に向かい合い、充実した活動・生活をしていただけたらと思います。

佐々木さん基礎情報





【PROFILE】
1991年生まれ、神奈川県出身。2017年3月、鹿児島大学大学院水産学研究科を修了し、同年6月に青年海外協力隊員としてコロンビアに赴任。19年6月、帰国。同年10月からインテムコンサルティング株式会社に入社。開発コンサルタントとして水産に関する国際開発や、国内補助金事業等に携わっている。

【活動概要】
コロンビアのマグダレナ県サンタマルタ市にある大学に配属され、海産魚類養殖技術開発を目指し、主に以下の活動を行った。
●稚魚の餌づくり(プランクトン培養)
●湖で採取したプランクトンの観察や培養
●現地学生や教授と共に培養した餌を用いた魚の試験飼育 など

知られざるストーリー