希少職種図鑑 [自転車競技]

職種概要

派遣中:0人
累計:3人
分類:人的資源
活動例:競技選手への直接指導や指導者への講習会の開催 など
類似職種:—

※人数は、2020年8月31日現在。

話=渡邉大貴さん(エチオピア・2017年度2次隊)

Q メインの活動は?

青年男子チームに指導する渡邉さん。担当する選手たちは英語ではなく現地語のティグライ語を話すため、活動当初はコミュニケーションの問題があった。渡邉さんは現地語を勉強し、この問題を解決した

 実業団に所属することを目標にトレーニングをしているアマチュア自転車競技チームの監督が、私のメインの活動でした。マラソンの世界的強豪国としても知られるエチオピアでは、政府が国を挙げてスポーツ選手の育成に取り組んでいます。しかし、マイナースポーツである自転車競技に関しては情報が少なく、効率的な練習方法を知らない監督が多いようでした。そこで私の自転車競技経験とトレーナーとして培ったスキルを生かし、実践的で理論的なトレーニング計画を作成し、提供しました。約20人の青年男子チームや約7人の女子チームなど、監督するチームが頻繁に変わることがありました。そのたびに全選手と同僚を集めてオリエンテーションを開催し、練習場所、集合時間などから決めていきました。選手や同僚と信頼関係を築くために、コーヒーをただ一緒に飲みに行くことなどもたくさんありました。

Q 活動の最大の困難は?

 1つ目は必要機材が十分に揃っていないことです。経済的な事情で必要最低限の機材が足りない上に、事故につながるリスク(整備不良の状態、ブレーキがあまり効かない、ヘルメットがない、タイヤの摩耗など)についての十分な認識がないまま過酷なトレーニングをしている選手がたくさんいました。
 2つ目は追走用の車両がなかったことです。長距離トレーニングなどでは、車やバイクを使って選手を追いかけて練習の指示を出すことが一般的です。しかし、資金不足で車両がないため追走をして練習を監督することができませんでした。

Q どう解決しましたか?

 まずは自転車を整備することに努めました。使える部品を集めてレース用の自転車と練習用の自転車をつくりました。日本の自転車競技チームに連絡を取り、余った機材を供与していただくこともありました(※)。
 怪我予防に対する啓発の一環として、事故防止に対する講習を徹底し、応急処置や傷害予防などリスクマネジメントに係るセミナーを実施。練習を監督するための追走用の車は、地区の行政のリーダーと直接交渉してドライバー付きの車を獲得するなどしました。

※ 日本競輪選手会静岡支部と静岡県島田市にある自転車屋なるおかサイクルからは多数の寄付をいただきました。

Q 同職種の後輩隊員にメッセージをお願いします。

 自転車競技は転倒すると重傷を負うスポーツです。選手が使う機材や道路などの環境を重点的にチェックしてリスク管理に努めることが、活動で最も重要なことになると思います。安全を第一に考え、科学的な根拠に基づく実践的なトレーニングプログラムが提供できるように努めましょう。

渡邉さん基礎情報





【PROFILE】
1993年生まれ、静岡県出身。中学2年生で自転車競技を始め、全国大会などに複数回出場。静岡産業大学経営学部スポーツ経営学科を卒業後、スポーツトレーナーとして活動を開始。2017年10月、青年海外協力隊員としてエチオピアに赴任。貧困を目の当たりにして国際協力の道を志し、現在は外務省の草の根・人間の安全保障無償資金協力外部委嘱員として在外公館との委嘱契約締結後、日本でテレワーク中。パーソナルトレーナーの認定資格 (全米NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)を持つ。

【活動概要】
エチオピアの政府管轄スポーツオフィスにて、主に下記の活動を行った。
●若手選手に対するロードレース、タイムトライアルの実践的な指導
●同僚トレーナーに対する知識の共有、育成支援
●関係者に対する障害予防や応急処置に係るセミナーの開催

知られざるストーリー