希少職種図鑑 [防災・災害対策]

職種概要

派遣中:5人
累計:78人
分類:計画行政
活動例:行政機関での防災管理体制づくりの支援や防災教育 など
類似職種:行政サービス

※人数は、2020年9月30日現在。

話=松葉 亮さん(ジャマイカ・2017年度1次隊)

Q メインの活動は?

学校での防災教育をする松葉さん。座学だけではなく生徒参加型にすることを意識した授業を行い、授業後には机の下に潜る練習など避難訓練も行った

 活動の種類及び移動範囲が広いのがこの職種の特徴ですが、私は「防災教育」と「ハザードマップ作成」をメインに活動しました。
 防災教育は、対面でのプレゼンテーションに留まらず、任地の人々や生徒たちに興味を持ってもらえるよう、住民参加型にしたり、東日本大震災の経験を伝えるときには映像や音で伝えたりする工夫を行いました。
 ハザードマップは、避難所検査と並行し、写真撮影やGPSポイントの採取などを行い、作成しました。活動地域である教区内100カ所以上を訪れ、作成したハザードマップを使用して、地域住民への避難所周知、管理担当者の連絡先及び災害時の初動マニュアルの共有ができました。

Q 活動の最大の困難は?

 任地には経済的な事情で不安定な暮らしを強いられている人もいます。そのようななかで未来のことを考える「防災」への意識付けをしてもらうことが、最大の困難でした。1つの事例として、活動初期にいくつかの学校などの避難所に備蓄機材を導入したのですが、しばらくして確認に行くと建物ごと破壊され、物品が全て盗まれていたことがありました。このことをきっかけに、活動が単なる押し付けになっていないかを考えるようになりました。

Q どう解決しましたか?

 ちょうどその頃、ハリケーンによる首都退避や任地の国家非常事態宣言発令により、各地域に足を運ぶことが減っていました。このことも備蓄機材盗難の原因の1つだと考えました。
 そこで意識的に各地域に足を運ぶ回数を増やすようにし、それが難しいときは電話をしたり、ジャマイカの人々が好きなボイスメールを頻繁に送ったり、とにかくコミュニケーションを取ることを意識しました。これを続けるうちに現地の人から問題点を少しずつ拾えるようになり、地域の協力者との連絡体制や見回り体制の話し合いに繋げていくことができました。

Q 派遣予定の同職種の隊員にメッセージをお願いします。

 目の前の子どもたちと一緒に防災を学ぶミクロな活動から、多くの人と協働し地域全体の仕組みづくりに携わるマクロな活動まで、とにかく業務範囲が広く、多岐に渡り活動できるのがこの職種の魅力だと思います。また、1人でガツガツ開拓していくというよりは、行政などの大きな組織の一員として組織内外のさまざまな人々と協働していく職種です。多くの人と触れ合い、さまざまな意見を交わし、物事を動かしていく経験は、任期終了後にどのような仕事をする場合にも、必ず役に立つと思います。

松葉さん基礎情報





【PROFILE】
1985年生まれ、埼玉県出身。2008年、立教大学経済学部経営学科を卒業後、食品会社に入社。主に経理、物流などバックオフィスに従事。東日本大震災をきっかけに防災に携わる職に就きたいと考え、13年市役所に転職。防災部署での勤務を経て、17年7月、青年海外協力隊員としてジャマイカに赴任。19年7月、帰国。

【活動概要】
ジャマイカ・ウエストモアランド教区事務所にて、防災・災害対策として主に以下の活動を実施。
●各地域コミュニティへの防災教育及び災害対策支援
●災害頻発地域における避難訓練の実施
●地域ハザードマップの作成及び災害予測分析
●他教区やさまざまな組織と連携した防災・災害対策支援体制の確立

知られざるストーリー