希少職種図鑑 [農業機械]

職種概要

派遣中:1人
累計:54人
分類:農林水産
活動例:職業訓練校、農業高校などでの授業・実習の実施 など
類似職種:自動車整備、工作機械

※人数は、2020年9月30日現在。

話=木下鉄兵さん(ウガンダ・2017年度3次隊)

Q メインの活動は?

任地周辺の整備士にエンジン修理の説明を行う木下さん

 現地の整備士の技術力向上のための指導や出張修理の導入と促進です。現地の整備士の育成の際には、故障診断や修理の指導をマンツーマンで行いました。ウガンダと日本とで整備の方法が異なる場合には、両方のやり方を実践し、現地の整備士がより良いと思う方法を選んでもらいました。
 出張修理の導入と促進では、約1年半、指導先の整備士と共に農家を訪問し、その場で修理を行うことを継続しました。これにより、農家が不具合のある機械を持って圃場と整備工場を往復する時間や手間がなくなり、整備士の顧客数の増加やモチベーションの向上にもつながりました。以上のことから、整備士の知識や技術、経験値が向上し、出張修理が導入され定着したことで、農家と整備士の関係も深まり、農家が効率的かつ円滑に農作業ができるようになりました。

Q 活動での困難は?

 いざ出張修理の導入を始めると、出張先での工具の不足という困難に直面することがありました。出張修理では、農家の方から直接、もしくは電話で修理の依頼を受け、バイクで現場まで駆け付けます。その際、全ての工具を持って行くことは不可能のため、必要になりそうな工具を予測し、持って行くことになります。このため、修理中に必要な工具が不足した際は、自身で整備工場まで取りに戻らなくてはならず、時間のロスが生じていました。

Q どう解決しましたか?

 出張修理を2人体制で行うようにしました。1人が主に修理を行い、もう1人がサポートや不足している工具を取りに行くことで、時間のロスを大幅に削減することができました。

Q 同職種の後輩隊員にメッセージをお願いします。

 日本も参画しているCARDフェーズ2(*1)では、サブ・サハラ・アフリカ地域でのコメの生産量を2030年までに2800万トンから5600万トンまで倍増させるという目標が掲げられています。現地の稲作農家の収量はいまだに低い状況ですが、収量が増加した際には、適切な農業機械の導入による、新たな農地拡大が不可欠です。
 農業機械の普及には「農業機械導入の費用」、「インフラ整備」、「必要な部品が供給されない」など障壁が多くあります。これらの障壁に対して、私たち個人の力は小さいかもしれません。しかし、現地の方が私たち農業機械職種の隊員たちと行った農業機械整備は「技術」や「知識」といった形で国の発展に貢献してくれるはずです。現地の方との活動を楽しんできてください。

*1 CARD…アフリカ稲作振興のための共同体。Coalition for African Rice Developmentの頭文字をとったもの。JICAが国際NGOのアフリカ緑の革命のための同盟と共同で立ち上げた国際イニシアティブ。

木下さん基礎情報





【PROFILE】
1994年生まれ、神奈川県出身。日本大学生物資源科学部在学中の2016年8月、青年海外協力隊員 (短期)としてウガンダに赴任。17年1月、帰国。同年3月、大学を卒業後、日本大学大学院に入学。18年1月、協力隊員として再びウガンダに赴任。20年1月、帰国。現在、大学院に復学し、在学中。ウガンダの農業機械化について研究を行っている。

【活動概要】
国立作物資源研究所に派遣され、JICAの技術協力プロジェクト「コメ振興プロジェクト(PRiDeプロジェクト)」(*2)に所属する農業機械整備士・任地周辺の機械整備士の能力強化を目指し、以下の活動を行う。
●農業機械整備
●出張修理制度の導入

*2 コメ振興プロジェクト…コメの生産量の増加や農家の所得向上に寄与するため、コメ関連研究機関における研究開発能力の強化や品質の向上などを支援する。

知られざるストーリー