希少職種図鑑 [珠算]

職種概要

派遣中:0人
累計:49人
分類:人的資源
活動例:学校を巡回し児童や教師を対象に珠算指導のサポートを行う
類似職種:小学校教育

※人数は、2020年11月30日現在。

話=村山 茜さん(トンガ・2017年度2次隊)

Q メインの活動は?

トンガの小学校の子どもたちと先生、村山さん(後列右)。村山さんはトンガで全国そろばん大会も企画・運営した。大会では、参加者の300人の子どもたちが「テウテウ、カマタ!(よーい、はじめ!)」の掛け声で一斉にそろばんをはじく。「初めての大会でその音を聞いたときには感動しました」と村山さんは振り返る

 私はトンガでそろばん教育のレベルアップを図るため、小学校を巡回し、教員に対する指導などを行いました。
 トンガのそろばん教育は、日本の影響で約30年前から始められました。子どもたちの計算能力の向上はもちろん、両国の友好の印でもあります。
 現地はそろばんが必須科目に入っているにもかかわらず、正しく指導している教員が少なく、教えられない教員も多いという問題点がありました。そこで特に注力したのは、「授業をしたいけど教えられない」「スキルに自信がない」という教員に対して、そろばん検定合格を目指す活動です。教員の元へ通って検定のための練習を週に2〜3回実施。その結果、活動中に15人の教員が各自の目標級(2~9級)に合格することができました。

Q 活動の最大の困難は?

 赴任前はそろばんが必須科目に入っているので、一定以上のレベルだろうと期待していました。しかし、赴任してみると、そろばん教育に積極的な教員は少なく、「自分は何のために来たんだろう」と自問自答するようになりました。また、私には「カリキュラムに沿って教える」ことが当たり前だったので、そうでない状況のなかでどう活動を進めたらよいのかわからなくなってしまいました。

Q どう解決しましたか?

 時間の経過とともにトンガのゆったりとした文化や人柄を理解できるようになったことで、「焦らず目の前のできることをやろう」「小さいことを積み重ねよう」という考えを持てるようになりました。その後は、教員のレベルアップのために、教員が検定合格を目指すよう活動を開始。練習の中でそろばんの有用性に気づいたり、検定に合格することで自身のそろばんスキルに自信がついたりして、積極的に授業を行う教員が増えました。

Q 派遣予定の同職種の隊員にメッセージをお願いします。

 トンガがそろばん教育を導入していること、現地の小学校で必須科目になっていることは日本であまり知られていませんが、最近ではテレビなどで取り上げられることも多くなってきました。日本から遠く離れた国でそろばんが普及しているということで話題性は高く、そうした活動にかかわれることはとてもやりがいがありました。
 IT化が進んで自分の頭で考えなくても答えが出てしまう世の中だからこそ、自分の頭で素早く答えを導き出すことができるそろばんは、これからの時代大きな武器になると思います。そうしたそろばんを、これからまさに発展していく国で教えられることは、とても貴重だと思います!

村山さん基礎情報





【PROFILE】
1992年生まれ、新潟県出身。2015年、専修大学文学部日本語学科卒業後、地元で観光の仕事に従事。2016年10月、青少年活動の青年海外協力隊員 (短期)としてウズベキスタンに赴任。17年10月、青年海外協力隊員 (長期)としてトンガに赴任。19年10月に帰国。現在はウェブサイト制作にかかわりながら、パラレルキャリアを目指す。

【活動概要】
トンガの子どもたちの算数能力向上のため、以下の活動を行う。
●学校を巡回し、そろばん授業の補助
●毎年開催される全国そろばん大会の企画・運営
●教員養成校での指導補助
●教員のそろばん指導力向上のため、検定試験受験の推進

知られざるストーリー