ケニア事務所からのエール

JICAケニア事務所の人員体制

●企画調査員(ボランティア事業):4人
●在外健康管理員:1人
●現地職員:30人
●その他:32人

JICAケニア事務所が入るビル

JICAケニア事務所の中に設けられたボランティアルーム

新型コロナウイルスの感染予防のため、隊員連絡所の利用は原則禁止中。事務所内に協力隊員が利用できるパソコンを設置しているボランティアルームを設け、過去の協力隊員の活動報告書などが閲覧できるようにしてある。

企画調査員(ボランティア事業)/白川智久

1976年生まれ、北海道出身。大学卒業後、民間企業勤務を経て青年海外協力隊に参加(ボツワナ・行政サービス・2015年度4次隊)。民間企業のミャンマー駐在員として教育分野の業務に従事した後、2020年12月より現職。

Q.主な担当業務は?
環境分野の協力隊員のサポートのほか、協力隊員の帰国手続きや語学フォローアップに関する業務を担当しています。

Q.ケニアへの協力隊派遣の特徴は?
主に計画・行政、農林水産、人的資源、保健・医療などの分野の協力隊員が、首都ナイロビ市の周辺やケニア西部を中心に派遣されています。

Q.印象に残っている活動例をお教えください。
私の着任がコロナ禍に入ってからということもあるのですが、一時帰国中のケニア隊員が日本国内で地域の課題の解決に積極的に取り組みながら、協力隊活動や語学に関する自己研鑽に励んでいることが強く印象に残っています。

Q.赴任までに準備しておくべきだと思うことは?
私自身が協力隊員として赴任する際にアドバイスされたことなのですが、必ず複数の活動プランを準備したうえで赴任したほうが良いと思います。それにより、活動先の状況に応じて実際に取り組む活動を柔軟に選択することが可能になります。

Q.活動ではどのような姿勢が重要でしょうか。
コロナ禍に入る前と後とでは、ケニアにおける協力隊員の活動や生活の状況が大きく変化しています。例えば、新型コロナウイルスの感染予防のため、現在は協力隊員が公共の乗り合いバスを利用することを禁止しています。そうした変化に柔軟に対応し、もし想定外の状況に置かれたとしても、自分なりの活動や生活をつくりあげていくという意気込みが必要になっていると感じています。

Q.協力隊員へのメッセージをお願いします。
withコロナ時代の協力隊活動には、以前にも増してさまざまな工夫が求められます。そのなかで、ケニアに赴任された協力隊員の方々の活動が少しでも充実したものになるよう、精一杯サポートさせていただきます。皆さんとケニアでお会いできることを楽しみにしております。

現地職員/Doris Waithira Njihia

ケニア・ナイロビ市出身。2004年から保健・医療や環境などさまざまな分野のJICA事業に従事。08年からJICAケニア事務所でJICAボランティア事業の業務を担当。

Q.協力隊員に共通する特徴だと感じていることは?
協力隊員の方々は、ボランティア活動への強い熱意を持ち、村落部に配属される協力隊員の場合はそうした地域で活動することに前向きな姿勢を持って赴任します。そのため、任地のコミュニティや配属先に容易に溶け込みます。それは、彼らが現地の文化、あるいは料理をはじめとする現地の生活を学ぼうとする姿勢を持って赴任するからなのだと思います。

Q.協力隊員に関する印象深いエピソードは?
数年前、それまでケニアで馴染みのなかった「指圧」を職業訓練校に通う視覚障害者に協力隊員が指導しました。指圧は、リラクゼーションだけでなく、腰痛、倦怠感、頭痛など体のさまざまな問題の解消に効果があります。しかも、服を着たままで施術を受けることができ、道具もベッドだけで済みます。その協力隊員は、視覚障害者が指圧をする施設を開設したり、公立の病院で指圧師として雇用されたりして自活できるようになることを目指していました。指圧は現在、ケニアで知れ渡り、その効果が認識されるようになりました。

Q.協力隊員にとって重要な心構えは?
協力隊員の方々には、現地の人は皆さんを歓迎し、皆さんの活動を必要とし、評価していると感じていただきたいと思います。また、活動や生活で「安心感」を持っていただきたいと思います。配属先のサポートがあって初めて協力隊員は最良のパフォーマンスを発揮し、確かな成果を残すことができるのです。

Q.協力隊員へのメッセージをお願いします。
ケニアの人々はフレンドリーです。現地の人々と深くかかわり、美しい風景や雄大な自然も楽しみつつ、協力隊活動に挑戦してもらえればと思います。もちろん、もっとも重要なのは、ケニア人がより必要としている技術を伝えていただくことです。

在外健康管理員/小川 歩

1978年生まれ、東京都出身。大学で看護師と保健師の免許を取得。看護師として大学病院などに勤務した後、青年海外協力隊に参加(ベネズエラ・看護師・2009年度2次隊)。任期終了後よりJICA在外健康管理員業務に従事し、2021年2月より現職。

Q.主な担当業務は?
JICAの事業で派遣されている方々の健康管理、現地の医療事情や流行疾患などの調査・把握、傷病者発生時の対応です。

Q.健康管理に関連する現地の事情をお教えください。
同じケニアでも地域によって注意すべき疾患や健康管理の方法が異なってくるのが特徴だと思います。都市部と村落部で違いがあるのはもちろんですが、マラリアやデング熱などの熱帯感染症、スナノミ症や住血吸虫症などの皮膚トラブルが流行している地域もあれば、首都ナイロビのように標高が高くて熱帯感染症などのリスクは低いものの、標高による影響で「疲れやすい」「息切れがする」「胃もたれする」などの体調不良があり得る地域もあります。

Q.健康管理に関して赴任前にやっておくべきことは?
時間の余裕を持って歯科検診を受け、虫歯があった場合は治療を終えてから赴任することをお勧めします。

Q.健康管理に関して派遣中に必要な心構えは?
自分の健康を過信しないことです。周りの人が大丈夫だから自分も大丈夫であるとは限りません。自分の健康は自分で守ることを心がけてください。

Q.健康管理に関するエピソードで印象的だったのは?
野菜が少なく肉が中心の食生活が一般的な他国の協力隊員の話です。派遣中の健康診断で体重やコレステロール値が上昇していたのですが、「現地の人が自分のためにつくってくれた料理であり、この2年間しか食べられない料理。一緒に食事をして交流する時間のほうが大切だ」と割り切っていました。後々の健康の悪化につながらない範囲であれば、これも1つの選択だと思います。

Q.協力隊員へのメッセージをお願いします。
コロナ禍のなかでの赴任は不安も大きいかと思います。十分な感染予防対策を行い、これまで以上に健康管理に留意する必要はありますが、「笑う門には福来る」です。たくさんの笑顔をお待ちしております。

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