ベトナム事務所からのエール

JICAベトナム事務所の人員体制

●企画調査員(ボランティア事業):3人
●在外健康管理員:1人
●現地職員:57人
●その他:27人

JICAベトナム事務所が入るビル

JICAベトナム事務所の室内。コロナ禍でスタッフは在宅勤務となっている

隊員連絡所はない。事務所の一角に協力隊員向けの本棚を置き、小説やビジネス書を中心とする本を並べている。

企画調査員(ボランティア事業)/永瀬 光

1975年生まれ、島根県出身。地方公務員を経て青年海外協力隊に参加(ケニア・村落開発普及員・2013年度1次隊)。その後、二本松青年海外協力隊訓練所勤務を経て2018年8月より現職。

Q.主な担当業務は?
日本語教育分野や観光分野などの協力隊員のサポートのほか、協力隊員の受け入れと現地語学訓練、帰国手続きなどに関する業務を担当しています。

Q.ベトナムの活動環境の特徴は?
ベトナムは日本と政治的・経済的な結びつきが強いため、協力隊員の活動も日本とかかわるものが少なくありません。日本語教育がその代表例ですが、ほかに日本人の顧客を想定した観光開発などの活動も行われています。任期終了後もベトナムとかかわり続ける協力隊員が多く、日本との結びつきはさらに強くなっていくと期待できるので、協力隊経験をその後のキャリアに生かすチャンスもさらに広がっていくのではないでしょうか。

Q.印象に残っている活動例をお教えください。
観光隊員と日本語教育隊員が連携し、大学の日本語学科で13回にわたる観光日本語特別講座を開催したことがありました。日本語観光ガイドを育成する目的の活動であり、地元経済と学生の両者に有益だったと関係者に好評でした。

Q.赴任までに準備しておくべきだと思うことは?
ベトナムの方々はカラオケが大好きなようで、日曜日の昼ごろに住宅街を散歩していると、あちこちの家から歌声が聞こえてきます。協力隊員も得意の一曲をつくっておくと良いと思います。

Q.活動ではどのような姿勢が重要でしょうか。
結婚式や葬式など、協力隊員はさまざまな行事に誘われることが数多くあるはずです。とりあえず何でも参加してみてください。日本人観光客や大都市に住む日本人駐在員には知ることができない「リアル」なベトナムを垣間見る機会になるはずです。

Q.協力隊員へのメッセージをお願いします。
皆さんが今お持ちのベトナムに関する知識やイメージが、協力隊員として過ごした後にどう変わるのかが楽しみです。2年の間で、「ベトナムに行く」ではなく「ベトナムに戻る」と表現するのが自然なほどこちらの生活になじみ、何年たっても再会を喜んでくれる友人・知人が多くできることでしょう。

現地職員/Nguyen Thi Ngu

1981年生まれ、ベトナム・ハノイ市出身。大学卒業後、2004年からJICAベトナム事務所に勤務。

Q.主な担当業務をお教えください。
日本語教育、コミュニティ開発、観光、幼児教育などの分野につき、企画調査員(ボランティア事業)とペアを組んでサポートを行うほか、現地語学訓練や語学のフォローアップ研修、帰国の調整などに関する業務を担当しています。

Q.協力隊員に共通する特徴だと感じていることは?
赴任時には「ベトナムを助けたい」という気持ちが強かったけれども、家族を大切にする姿勢や向上心など、ベトナムの人々から多くのことを学んだという感想を持って任期を終える協力隊員が多いように思います。また、任期終了後もベトナムに戻ってベトナムの発展のために活動している方や、日本でベトナム人留学生やベトナム人技能実習生を支援する仕事に就いている方も多い印象です。

Q.協力隊員に関する印象深いエピソードは?
UNESCOのアジア太平洋文化遺産保存賞を受賞した村では、伝統家屋などの文化財の修復工事を支援する建築隊員と、住民の生活改善や観光開発を支援するコミュニティ開発隊員をペアで派遣してきましたが、彼らの取り組みは好評でした。コラボを図り、村の伝統を保存しながら、生活の問題の解決に取り組んでくれました。

Q.協力隊員の活動で重要だと考えていることは?
ベトナム人にとって「コミュニケーション」や「信頼関係」は非常に重要です。何でも言い合える関係を目指すことで、コミュニケーションが進み、信頼関係が生まれます。また、ベトナム人はコミュニケーションをする相手の表情をよく見ています。そのため、あえて笑顔をつくって会話し、相手に親近感を持たせることに努めるのが良いと思います。

Q.協力隊員へのメッセージをお願いします。
日本の技術や知識でベトナムにないものは多く、それらを共有してほしいと求められるケースが多くあります。協力隊員がそれらを伝える際、「ベトナム人と一緒によりよい回答を見つけよう」という気持ちがなければ受け入れてもらえないと思います。何があっても、「理解しよう! 調和しよう!」と心がけてください!

在外健康管理員/大場利優

静岡県出身。短期大学で正看護師の免許を取得し、助産師学校で助産師の免許を取得。助産師として大学病院に勤務した後、青年海外協力隊に参加(ネパール・助産師・1996年度2次隊)。その後、JICA本部の健康管理室に6年間勤務。スリランカ、フィリピン、タイのJICA在外健康管理員を経て、2018年10月より現職。

Q.主な担当業務は?
JICA事業で派遣される方々の健康管理支援です。在外事務所でJICA職員、専門家、協力隊員などの日常の健康相談や途上国における疾病の予防対策、医療情報の収集・発信などの啓発活動、病気や事故などの緊急時の対応などに携わっています。

Q.健康管理に関連する現地の事情をお教えください。
蚊が媒介するデング熱やマラリアなどの感染症は年中発生しますので、防蚊対策は特に必要です。交通量が多くて大気汚染が深刻な都市部では、交通事故や呼吸器の病気に気を付ける必要があります。近年、大きな都市では日本人の医師が勤務するクリニックや歯科医院も増えているため、軽微な病気に関しては気軽に受診できるようになってきています。

Q.健康管理に関して赴任前にやっておくべきことは?
厳しい環境でも耐えられるだけの体力や精神力を養い、自分の健康状態を自分で把握しながら自己管理できるようなっておいてください。派遣中は趣味などで気分転換することも重要なので、ベトナムで楽しめる娯楽品などを持参すると良いです。また、協力隊員の傷病でもっとも多いのは歯科疾患です。赴任前に歯科検診を受け、必要な場合は治療を完了してから赴任してください。女性の場合は、派遣中の一時帰国が叶わない場合に備えて、婦人科健診を受けてから赴任すると良いです。

Q.健康管理に関して派遣中に必要な心構えは?
ベトナムの文化や食事などは日本人になじみやすく、ベトナム人は親切で家族のように接してくれるので、生活はしやすいと思います。しかし、ストレスを感じたり疲れが出たりすることはあると思いますので、そういう場合は1人で悩まず、早めに在外健康管理員に相談・報告することを心がけてください。

Q.協力隊員へのメッセージをお願いします。
ベトナムはおいしい食べ物もたくさんあり、治安も比較的良く、住みやすい国ですので、楽しみに赴任してください。新型コロナウイルス感染症が流行するなかでの赴任は心配な部分もあるかと思いますが、皆さんが安全かつ健康に過ごせるよう全力でバックアップしますので、安心して赴任してください。

知られざるストーリー