パプアニューギニア事務所からのエール

JICAパプアニューギニア事務所の人員体制

●企画調査員(ボランティア事業):1人
●在外健康管理員:1人
●現地職員:11人
●その他:7人

JICAパプアニューギニア事務所のスタッフ

JICAパプアニューギニア事務所が入るビル

隊員連絡所と事務所の図書室には、農林水産や教育、ITなどこれまで協力隊員が活動してきた分野の専門書や、協力隊の各種分科会が作成してきたテキストや教材などを保管。

企画調査員(ボランティア事業)/高森 靖

1983年生まれ、山口県出身。大学卒業後、青年海外協力隊に参加(スリランカ・環境教育・2009年度4次隊)。帰国後、外国人技能実習生の研修センターや監理団体に勤務するかたわら、青年海外協力隊大阪府OB・OG会の活動に参加。2019年3月より現職。

Q.主な担当業務は?
保健・医療分野や日本語教育分野の協力隊員のサポートのほか、協力隊員の帰国手続き、バイクの貸与・管理、広報などに関する業務も担当しています。

Q.パプアニューギニアの活動環境の特徴は?
協力隊員が配属される行政機関は慢性的に人材不足であり、常に即戦力が求められます。そのため、同僚に自分の技術や経験などを共有する機会は、工夫してつくらなければなりません。一方で、先輩隊員たちがこれまでの活動で獲得した信頼により、着任したばかりでもどんどん仕事を任せてくれる配属先が多いため、非常に活動がやりやすい環境だと思います。

Q.印象に残っている活動例をお教えください。
病院で活動した理学療法士隊員が、活動のかたわらで同僚と共に配属先の理学療法に関するデータを収集・分析し、計6本の論文にまとめて発表したことがありました。それまで関係者が漠然と感じていたことが「統計」により見える化されたことで、彼らに非常に大きな影響を与えました。

Q.赴任までに準備しておくべきだと思うことは?
地方都市では外食の場がほとんどなく、これまでの協力隊員たちは食生活に苦労していました。そのため、つくれる料理のバラエティを増やしてから赴任することが、2年間の活動や生活をより充実させるために有益だと思います。

Q.活動ではどのような姿勢が重要でしょうか。
800以上の部族があると言われ、それぞれ文化や考え方が異なります。協力隊員の配属先にはさまざまな部族の職員がいると思います。彼らとの関係を築くうえで、まずは相手の部族のことを学ばせてもらうというのが良いと思います。

Q.協力隊員へのメッセージをお願いします。
自分の目で現地を見て、大自然が残るパプアニューギニアを感じてもらえればと思います。健康第一・安全第一で無事に2年間活動できるよう、事務所スタッフ一同応援していきます。

現地職員/Priscilla Kavana

1984年生まれ、パプアニューギニア・ポートモレスビー市出身。2016年にJICAパプアニューギニア事務所に入職し、18年から企画調査員(ボランティア事業)のサポート業務に従事。主に協力隊員の配属先とJICAの間の調整役を務めている。

Q.協力隊員に共通する特徴だと感じていることは?
「挑戦者」だと感じています。リスクを恐れずに好んで挑戦する、あるいは任地のコミュニティに入り込み、2年間にわたってそこの人々のためになることに取り組めるだけの強い人間力を持っている方々だと思います。

Q.協力隊員に関する印象深いエピソードは?
パプアニューギニアでは、小学校の卒業時に中学校への進学の資格を得る国家試験があります。算数の平均点が低いという課題を抱えていたある小学校で、協力隊員が高学年の算数の授業を担当したところ、国家試験の成績が目覚ましく向上したことがありました。

Q.協力隊員の活動で重要だと考えていることは?
協力隊員たちは、現地の言語を学び、現地の料理を食べ、現地のコミュニティの一員として暮らします。他の文化、他の生活習慣を学ぼうとする広い心を持って赴任していただきたいと思います。

Q.協力隊員へのメッセージをお願いします。
協力隊に参加されること自体、皆さんにとっては新たな発見や自分自身の成長が得られる大きな一歩だと思います。慣れ親しんできた「コンフォート・ゾーン」から飛び出し、未知の世界に飛び込む経験にほかならないからです。「成長」と「人生の転換」の2つをもたらす挑戦であり、機会であると思います。お伝えしたいたった1つのことは、異文化を経験する機会をぜひ最大限に実りあるものとしてもらいたいということです。日本の生活と任地の生活がどのような点で異なるのか、任地に変化をもたらす役目で赴任した自分は何の発展に貢献できたのか。任期を終えたら、それらを振り返ってもらいたいです。心を開いて我が国にいらしてください。

在外健康管理員/松田美穂

看護師として大学病院の脳神経外科病棟、ICU、CCU、熱傷センターなどに勤務した後、青年海外協力隊に参加(ベトナム・看護師・2012年度3次隊)。看護師として大学病院に勤務した後、大学院で熱帯医学を学ぶ。その後、NGOのスタッフとしてアフリカと中東で救急医療に関するプロジェクトに従事。2019年1月より現職。

Q.主な担当業務は?
JICA事業で派遣される方々の健康管理、現地の医療情報を収集して事実との整合性をアセスメントし、病気や事故などの緊急時の対応体制を整備すること、病気や事故が発生した際の現地医療機関との調整などを担当しています。

Q.健康管理に関連する現地の事情をお教えください。
マラリアやデング熱が蔓延しているため、防蚊対策は必須です。また、赤痢などの下痢症も見られるため、食べ物の加熱や手洗いも大切です。新型コロナウイルス感染症に関しては、経路が追えない市中感染が継続しているため、公共の場での適切なマスク着用とソーシャルディスタンスを徹底し、それができない環境には行かないなどの自己防衛が欠かせません。

Q.健康管理に関して赴任前にやっておくべきことは?
体温計、常備薬、パーソナルヘルスレコード、共済会ハンドブックを忘れずに持参していただければと思います。

Q.健康管理に関して派遣中に必要な心構えは?
新型コロナウイルス感染症に関しては、現地の人々の意識の低さに赴任当初は驚かれると思います。しかし、人は時間とともに同化する傾向がありますので、定期的にご自身の感染予防対策を振り返ることが大切だと思います。

Q.健康管理に関するエピソードで印象的だったのは?
ココナツを常にストックしておき、脱水予防に努めていた協力隊員がいました。パプアニューギニアで豊富なココナツは、ミネラルが豊富な天然のスポーツドリンクであり、現地の状況に即した工夫だと感心しました。

Q.隊員へのメッセージをお願いします。
パプアニューギニアはインターネットの接続が不安定です。治安上の行動制限もあるので、電子書籍や動画などは赴任前にダウンロードし、気分転換の方法を広げておくことをお勧めします。

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