活動に関連する用語を重点的に勉強

河原礼佳さん(モンゴル・料理・2017年度3次隊)






PROFILE

【PROFILE】
1990年生まれ、長野県出身。調理師専門学校を卒業後、都内の飲食店に勤務。2018年1月、青年海外協力隊員としてモンゴルに赴任。20年1月に帰国。

【活動概要】
ドンドゴビ県職業訓練校に配属され、主に以下の活動に従事。
●料理コースの実習授業での指導
●住民対象の料理教室の開催
●食品会社や飲食店への助言
右の写真は配属先で河原さんが行った料理の実習授業の様子。

【事前の語学学習】
●派遣前訓練で学んだ言語:モンゴル語
●現地語学訓練で学んだ言語:モンゴル語

【耳に残る言葉】
「Хайртай шүү!」(ハイルテイ・シュ!/愛しているよ!)
意中の異性に愛を伝えるときだけでなく、同性の友人や職場の同僚に対してお礼や信頼の気持ちを伝えるためによく使われる言葉です。モンゴル人は日本人と顔立ちが似ていますが、自分の感情や思いを素直に言葉で表現するお茶目でおおらかな点が、日本人とは違うなと感じました。


——赴任時の語学力は?

河原さんが作成した「手巻き寿司」のモンゴル語版レシピ

河原さんが作成した「どら焼き」のモンゴル語版レシピ

 モンゴル語は初めて学ぶ言語であり、選考試験に合格してモンゴルに派遣されることが決まった時点からモンゴル語の勉強に力を入れていたこともあって、派遣前訓練の修了時は同期隊員のなかで上位のレベルでした。しかし、赴任当時はまだわからない語句もたくさんあり、現地の人が話す速さでは十分に聞き取ることができませんでした。そのため、活動について同僚と話し合う際、私のモンゴル語力の不足から認識のずれが生じてしまったこともありました。そうしたなかでも、着任早々に任された料理の実習授業では、教材とするレシピの作成や口頭の指導をさほど苦労なくこなすことができました。「料理の指導」という私の活動に必要な語句の習得に重点を置いて勉強しておいたことが功を奏したのだと思います。

——料理の指導に必要な語句は、具体的にどのような方法で勉強したのでしょうか。

 インターネットをフル活用した勉強です。1つは、料理のレシピをモンゴル語で紹介するサイトを探し、そこで使われている語句をノートに書き写し、翻訳していきました。手間はかかりますが、それゆえ語句を確実に習得できたと思います。パスタやサラダ、ハンバーガーなどさまざまな国でつくられている料理のレシピをモンゴル語で紹介するサイトもあります。モンゴル語のサイトでは他国のものと少しレシピが異なったりすることもあり、料理を専門とする私にとっては興味が尽きず、勉強を継続する意欲も刺激されました。また、モンゴル語で料理の手順を紹介する動画をYouTubeで探し、暇さえあれば視聴していました。出演者の動きを見ながらであれば、セリフの意味が理解しやすく、リスニングの練習には打って付けだと思いました。こうした自習でわからない語句があったら書き留めておき、派遣前訓練や現地語学訓練の先生に尋ねて不明な点をひとつひとつ解決していきました。そうして学んでいった料理に関連する語句は随時パソコンに入力していき、「モンゴル語の料理用語集」としてまとめました。この資料は、ほかの職種のモンゴル隊員がプラスアルファの活動で日本の料理を紹介する際にも役立ててもらうことができました。

——赴任後にモンゴル語力向上のために実践したことは?

 私のモンゴル語力を知らず、普段のスピードで話してくる現地の人との会話に早く慣れることが重要だと思ったので、同僚とのコミュニケーションを密にするだけでなく、街ですれ違う人に必要以上に道を尋ねてみたり、買い物をする際に必要以上に店員と会話をしてみたりといったことを意識して行うようにしました。それによってモンゴル語で生活することへの不安もすぐに消えていきました。

——後輩の協力隊員に向け、語学力向上に関するアドバイスをお願いします。

 YouTubeにその国の言語で投稿している人、派遣前訓練や現地語学訓練の先生、配属先の同僚や任地の住民などは、協力隊員にとっては語学の先生です。ぜひ彼らをフルに活用してください。なかでも赴任後に接する人たちと積極的にコミュニケーションをとれば、語学の向上だけでなく、活動に協力してもらえるだけの人間関係の構築にもつながるはずです。また、基本的な文法を習ったら、活動で使う単語や表現を重点的に学んでいくのも早道だと思います。

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