希少職種図鑑 [診療放射線技師]

職種概要

派遣中:0人
累計:82人
分類:保健・医療
活動例:病院の放射線科で患者へのサービスの質の向上などを行う
類似職種:医療機器

※人数は2021年3月末現在。

話=笹川恵美さん(ボリビア・2018年度2次隊)

Q メインの活動は?

配属先で行われたレントゲンの撮影技術に関する実習授業の様子

 配属先は医療従事者を養成する学校の診療放射線技師のコースで、主な活動は専門技術を教える授業を行うことでした。配属先にはレントゲンやマンモグラフィの機器はありましたが、CTやMRIの機器はなく、同僚教員もMRIの機器は扱った経験がありませんでした。しかし、CTやMRIの機器はボリビアの病院の一部には導入されていたことから、私が帰国した後にも同僚教員や学生たちが参考にできるような資料を残そうと、CTやMRIについて機器に触れたことがない人でもわかりやすいような教材の作成に力を入れました。

Q 活動での最大の困難は?

 ボリビアの病院ではマンモグラフィの撮影技術のレベルが非常に低かったため、配属先でその教育水準を高めるための支援をすることが最大の困難でした。病院の医師たちから医療従事者の養成機関に要望を上げてもらうのが近道でしたが、彼らの認識も十分ではなく、私の拙い語学力でどこが問題なのかを彼らに適切に伝えるのは容易ではありませんでした。

Q どう対応しましたか?

 マンモグラフィの撮影技術のマニュアルを作成する一方、技術の継承を担ってもらえそうな優秀な生徒に対象を絞った特別授業を行いました。マンモグラフィの撮影技術は多くの患者さんを経験しながら磨き上げていく職人技なので、作成したマニュアルを使った授業を私の帰国後も同僚教員が継続し、卒業後に医療現場で腕を磨き、後進を育てる人材が育ってくれればというのが私の期待です。

Q 同職種の後輩隊員にメッセージをお願いします。

 診療放射線に関しては、協力隊員の配属先ではおそらく日本で一般的なものより何世代も前の機器しかなかったり、放射線の被爆の影響についての教育が不十分であったりするケースが多いのではないかと思います。そうした状況のなか、慣れない外国語を使って専門技術を伝える活動は困難の連続になるはずです。もっとも大きな困難は、与えられたマニュアルに従って作業を行えば良いという意識を変えることだと思います。「どのような理由で、そののように検査を行わなければならないか」への理解がなければ、よりよい検査技術は身に付きません。日本の診療放射線技師の最大の強みは、「作業のロジック」を現場でしっかりと身につけていく点にあると思います。それをぜひ、活動の対象者に伝え、より良い検査方法を自分の頭で考え、実践していくきっかけづくりをしていただければと思います。

笹川さん基礎情報





【PROFILE】
1986年生まれ、大阪府出身。専門学校で診療放射線技師の資格を取得した後、大阪市立大学附属病院と医療法人南労会紀和病院に診療放射線技師として勤務。2018年10月、青年海外協力隊員としてボリビアに赴任(現職参加)。20年3月に一時帰国し、その後任期を終え、南労会紀和病院に復職。

【活動概要】
日本・ボリビア国立医療従事者養成校(コチャバンバ県コチャバンバ市)に配属され、主に以下の活動に従事。
●レントゲン・CT・MRI・マンモグラフィ・放射線防護など診療放射線技術に関する授業の実施
●教科書の改訂に際してのアドバイス

知られざるストーリー