希少職種図鑑 [ソフトボール]

職種概要

派遣中:0人
累計:129人
分類:人的資源
活動例:ソフトボールの普及、選手の育成・強化、指導者の育成
類似職種:野球

※人数は2021年5月末現在。

話=中村藍子さん(ボツワナ・2016年度3次隊)

Q メインの活動は?

中村さん(前列中央)がたびたび指導に訪れたクラブチームの選手たちと

 ソフトボールはボツワナではメジャーな競技で、各地にクラブチームが存在し、小学校のクラブ活動にも取り入れられています。そうしたなかで私の主な活動となったのは、男女のボツワナ代表チームをアシスタントコーチとして指導することと、各地のクラブチームや小学校に赴いて講習会を実施することです。男子代表チームは世界選手権大会で初めてベスト8入りを、女子代表チームは世界選手権大会本戦への初出場を果たしました。

Q 活動での最大の困難は?

 継続して指導する代表チームの選手たちには、ゴミを拾ったりトンボがけをしたりといったグラウンド整備、道具を大切に扱うこと、時間の遵守など、プレー以外に選手として大切なことの実践を促そうとしました。ところが、現地の指導者ですらこれらには馴染みがなく、当初は声がけをしても指導者と選手のいずれからもほとんど反応がありませんでした。

Q どう対応しましたか?

 グラウンドの整備については、私自身が率先して行い、それを見て真似てくれるのを待ちました。すると、自発的に実践する指導者や選手、選手に実践を促す指導者が現れるようになりました。
 一方、時間の遵守については、最終的に実践を促すことは諦めました。現地では、家庭での役割を果たすために家庭外の仕事や活動に関する時間の約束を犠牲にするのは一般的です。そうした社会のなかで、ソフトボールに関して時間の遵守を促すのは出過ぎたことかもしれないと考えたからです。ただし、配属先の同僚は私の言わんとすることを理解して、指導者や選手に時間遵守の大切さを説いてくれたので、現地の人たちの間でこの問題についての議論がいずれ活発化することを願っています。

Q 同職種の後輩隊員にメッセージをお願いします。

 競技経験を踏まえて重要だと思うアドバイスをしても、相手がそれを受け入れてくれないなど、スポーツ分野の職種で派遣される方々は皆、さまざまな壁に直面することと思います。そうした際の落ち込みは、赴任時に持っていたやる気が強ければ強いほど、大きいかもしれません。しかし、やる気はやはり活動の大切な源だと思います。理想と現実の差にいったんは戦意喪失したとしても、赴任時に抱いていたやる気を思い出して、現地の方々と出会った縁の貴重さをあらためて感じてください。そこからぜひ、自分に何ができるかをもう一度考え、立ち上がっていっていただきたいと思います。

中村さん基礎情報





【PROFILE】
1979年生まれ、千葉県出身。中学生のときにソフトボールを始め、大学卒業後はオーストラリアでのワーキングホリデーなどを挟みながら2つの実業団チームで選手として活躍。トレーニングジムのインストラクターを経て、2017年1月に青年海外協力隊員としてボツワナに赴任。19年7月に帰国。

【活動概要】
ボツワナソフトボール連盟(ハボロネ市)に配属され、ソフトボールに関する主に以下の活動に従事。
●ボツワナ代表チーム(男女)の指導
●国内各地のクラブチームや学校に赴いての指導
●ボツワナ代表チームが使うグラウンドの整備体制の強化支援

知られざるストーリー