希少職種図鑑 [考古学]

職種概要

派遣中:1人
累計:107人
分類:人的資源
活動例:考古学の授業や教員への助言、発掘調査の技術指導など
類似職種:学芸員、文化財保護

※人数は2021年6月末現在。

話=川島秀義さん(シニア海外協力隊員/ラオス・2016年度2次隊)

Q メインの活動は?

川島さんの帰国にあたり、ラオス国立大学の考古学教育を支援するプロジェクトの代表と関係者が集まって行われたハンドオーバーセレモニー

 私が配属されたラオス国立大学社会科学部歴史・考古学科の考古学・文化遺産保護専攻は開設されたばかりだったため、歴史学や人類学を指導してきた講師数人が考古学の指導を担っていました。そこで私が取り組んだのは、担当講師たちの考古学に関する知識や技術の向上を支援する活動です。任期の前半から中盤にかけては講師たちを対象に講習会を実施し、中盤から後半にかけては講師たちと共に考古学調査を実践して、そのなかで指導を行いました。その結果、講師たちはある程度のサポートがあれば考古学調査の計画策定、実施、報告ができるようになり、それが学生への指導のレベルアップにもつながりました。

Q 活動の最大の困難は?

 考古学・文化遺産保護専攻に十分な予算を割いてもらうのが難しかったことです。講師たちの指導力向上には考古学調査の経験を積むことが必要でしたが、その費用を予算でまかなうのは不可能でした。また、不足していた考古学関連の資料や機器材を整備することも、予算では困難でした。

Q どう対応しましたか?

 考古学調査については、ラオスでの考古学調査を予定していた日本のいくつかの大学とラオス国立大学の連携をコーディネートし、調査に配属先の講師たちが参加することができました。そのなかで、調査や報告書作成の経験を積んでもらいました。配属先の講師たちと日本の研究者の間の交流が進み始めたことも、共同調査の収穫でした。また、共同調査の際に日本の大学の研究者から「ラオスの考古学のために何かできることはないか」と申し出があり、ラオス国立大学に対して資料や機器材の整備を支援するプロジェクトを立ち上げてもらうこともできました。私は日本の大学と配属先の間の仲介役を担当し、任期中に資料や機器材の不足は解消されました。

Q 同職種の後輩隊員にメッセージをお願いします。

 赴任前の方は「2年間」という期間を「長い」と感じるかもしれません。しかし、途上国では計画通りに進まないことが通常であるため、実際に活動を始めると、思い描く目標を達成するには限られた時間だと痛感することと思います。そうしたなか、1つでも多くの目標を達成するためには、当初の計画に縛られず、そのときそのときの状況に合わせて計画を修正していく柔軟さが大事だと思います。そして、支援をする側、受ける側の両者がお互いを尊重し、楽しむことが良い成果につながるはずです。

川島さん基礎情報





【PROFILE】
1975年生まれ、埼玉県出身。東海大学文学部史学科(考古学専攻)を卒業後、2000年4月に青年海外協力隊員としてラオスに赴任(考古学・1999年度3次隊)。財団法人埼玉県埋蔵文化財調査事業団勤務等を経て、16年10月にシニア海外協力隊員としてラオスに赴任。18年10月に帰国。

【活動概要】
ビエンチャン市にあるラオス国立大学社会科学部歴史・考古学科に配属され、主に以下の活動に従事。
●講師を対象とする考古学の指導
●考古学調査(遺跡踏査など)への参加
●遺跡の調査への参加
●配属先の紀要の刊行

知られざるストーリー